ママ友とカフェでお茶
当時私は下の子を妊娠中で、他のママ友はみんな2歳の下の子連れ。カフェには子どもたちを遊ばせるスペースがあり、思い思いに遊ぶ子どもたちを大人たちが見守りながらお茶を飲み、おしゃべりに花を咲かせていました。その中の1人Kさんはとてもおしゃべりで、いつも誰かと話しています。あまりおしゃべりが得意ではない私は正直、「ちょっと合わないタイプかな」と思っていました。
そんな中、Kさんは私たちと会話しつつも、何度も駐車場のほうをチラチラ気にしている様子。「誰かいるのかな?」と不思議に思いつつ、何でもない顔でおしゃべりもするのであまり気に留めていませんでした。
おしゃべり中、1人のママが立ち…
そしておしゃべりの途中、Kさんがすっと立ち上がりました。「ちょっとお手洗い行ってくるから、うちの子見ててくれる?」と言い、なぜかお手洗いとは逆方向へ。何かと思って見ていると、子どもを抱っこしベビーカーを持ったママが、ちょうどお店に入ってくるところでした。
タイミングよく入り口を通りかかったKさんは、さっと扉を開け「どうぞー」とにっこり。自動ドアのように空いた扉に、入ってきたママは「あ、すみません、ありがとうございます」と店内へ。Kさんは「いえいえ」とドアを閉め、何でもないような顔でそのまま遠回りをしてトイレに入っていきました。
スマートな行動に尊敬!
帰ってきたKさんに「入ってくる人、ずっと気にしてたの?」と聞くと「えー?いやー、たまたまだよ~」と何でもないような顔。わざわざ親子が入ってくる前から外をずっと気にしていて、トイレと言って遠回りをしながらスマートに親子をサポートしたKさん。
何事もないように元の会話に戻ってきたところまで含めて、なんてスマートに動ける人なんだろう! と感動してしまいました。私は素直に「私、Kさんの行動に感動しちゃった」と伝えましたが、「なーんもしてないよ。たまたまだもん」とニコニコしていたKさんでした。
そこからKさんの行動に目を配ってみると、人が気づかないところで公園のゴミを拾ったり、他のママが上の子に振り回されていたらさっと下の子のサポートに入ったり、気遣いができる人なのだとわかりました。そこからはKさんへの苦手意識も薄れ、それまでよりもたくさん話すことができています。
監修/助産師 松田玲子
著者:山口花
田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。