ある日、下校途中で雨に降られ、びしょ濡れて帰宅したソウ。濡れた服を脱ぎ、着替えてから塾へ向かいました。お母さんが、ソウの洋服を洗濯しようとすると、ポケットから“バーカ”と書かれた紙切れを見つけてしまいます。
毎日楽しそうに学校に行っていたソウ。そんな息子が、いじめにあっているなんてまったく頭になかったお母さんは、塾から帰宅したソウに「いじめられてるの?」と尋ねます。ソウは、「いじめられてないけど!?」と否定しますが、お母さんは紙切れを見せ、「何かあるなら教えてくれる?」と、さらに問いかけると……。
“バーカ”と書かれた紙切れの正体は…
お母さんに紙切れを見せられ、「あれか!」とピンとくるソウ。
「いじめられてるっていうか……。レクトってやつに嫌われたらしくて、よくちょっかい出されるんだよ」
「レクト、レクト……?」
息子の友だちの名前に聞き覚えがないお母さん。
「お母さんは知らないやつだよ。初めて同じクラスになったんだ」
去年、まだレクトと違うクラスのとき、公園にひとりでいたレクトに声をかけ、遊ぶようになったことを説明します。
「3年生になって、初めて同じクラスになって。そしたら押されたり足をかけられたり……」
息子の言葉にギョッとするお母さん。そして、ソウは続けます。
「お母さん、オレ、いい加減ムカついてきたから、今度レクトにやられたらやり返していい?」
今まではレクトから嫌がらせを受けても、やり返さず黙っていたソウ。しかし、偶然お母さんに知られてしまったタイミングで、“やり返したい”という気持ちが生まれてしまうのです。
これまで何もせずやり過ごしてきたソウ。とても大人な対応でしたが、本心では“やり返したい”と考えてしまうのも、小学生なら自然な感情かもしれません。しかし、親ならば、“やり返す”以外の方法を提示してあげたいと思うのではないでしょうか。皆さんは、もし子どもから「嫌がらせしてくるお友だちにやり返したい」と言われたら、どのような言葉を返しますか?