買ったものを店内でぶちまける
午前中にめいっぱい遊んでから立ち寄ったスーパー。眠くてぐずぐずしている息子を抱っこひもで抱え、疲れて機嫌の悪い娘の手を引きながら急いで買い物を済ませました。
「子どもたちの機嫌がこれ以上悪くなる前に、早く帰らなければ!」と焦りながら、買ったものをカートの子ども用の椅子の部分に、無理やり乗せて手で支える私。しかし、その焦りがよくなかったのか、椅子の上に不安定に乗せられた荷物がひっくり返ってしまい、店内の床に買った商品がぶちまけられてしまいました。
誰も助けてくれないと思いきや
「やっちゃった……」とため息をつきながら商品を拾います。いつもなら戦力になる娘も、今日は機嫌が悪くて「娘ちゃん手伝って」と言っても「やぁだ!」の一点張り。抱っこひもの中の息子も大泣きです。
道行く人はチラリと見るだけ。周りの人の視線に居たたまれなくなりながら、「もう、最悪だ」となんとか商品をかき集めていると、遠くから「うわ、まじか」と聞こえました。見ると、ひとりの女子高生が私たちを見て顔をしかめているのです。そのセリフに「あーもう本当に嫌だ」と悲しい気持ちになっていると、フッと女子高生が隣に来ました。
女子高生、素敵すぎる!
女子高生は「誰も拾わないとか、まじでありえん!」と怒りながら、私が落としたものを拾ってくれたのです。とっさに「ありがとうございます」と言うと、「私が全部拾うよ。赤ちゃん苦しいだろうからお母さんは立ってていいよ」と、手早く床に落ちたものを袋に入れ直してくれました。
しかも「あ! この豆腐、穴が空いてる! 交換してくるから待ってて!」と言い、止める間もなく行ってしまい、すぐに「店員さんに聞いたら交換してくれたよ!」と戻ってきました。私は何度もお礼を伝え、女子高生は最後まで「大丈夫? まだ落ちてるものない?」と気にしつつ、最後は子どもたちに笑顔で手を振って去っていきました。
当たり前のように困った人を助けてくれ、居たたまれない気持ちでいた私の気持ちごと救ってくれた女子高生。帰りの車では、娘が「お姉さんかっこよかった……」としみじみつぶやいていました。願わくはわが子たちも、あの女子高生のように、さっそうと困っている人を助けられる素敵な人に育ってほしいと思います。
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著者:山口花
田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。