こんにちは。小児科医の保田典子です。ちょっとした親の言動で子どもの脳が傷つけられるというデータが出てきています。子どもには前向きに、自分の能力や才能をいかんなく発揮してくれる子になってほしいですよね。怒ってしまってはNGな理由とポジティブ声かけのコツをお伝えします!
「叱る」と「怒る」は違います
「叱る」というのは、冷静に話して言い聞かせることを言います。「怒鳴る」というのは、「自分は怒っている」という感情を子どもにぶつけている状態のことを指します。
その場の感情をぶつけてしまうと、子どもは怒られた内容(何が悪かったのか)よりも、「怒られた! ママが怖かった!」という気持ちが先にたってしまい、結局言い聞かせたいことがかえって伝わらなかったりします。
感情的になって子どもに怒鳴り続けると、子どもは次第に「何をやってもママは怒る」「自分は何もできない」と覚えてしまいます。何をしても過激に怒鳴られると、常に大人の顔色を見て動くようになり、子どもの自由さ、豊かな発想は潰されてしまいます。
すると自己肯定感は低くなり、子どもにとって悪影響を及ぼすのです。頻繁に怒鳴られると、子どもの脳が傷つくという研究結果もあります。
ネガティブな言葉や怒鳴り声は悪影響!NG行為2つ
NG行為1:感情的になって叱り続ける
日本小児科学会によると、虐待を受けた子どもの脳は神経生物学的な反応が起こり、神経の発達に不可逆的な影響を及ぼすそうです。
その結果、子どもは怒りや恐怖などの感情をコントロールすることができず、衝動的・攻撃的な行動をとるようになってしまうという悪影響があります。
感情的に怒ったり、大声で怒鳴り続けると、将来人間関係築くことが難しくなってしまう恐れもあります。自己肯定感も低いまま成長してしまうと、「自分は愛される価値のないダメな人間だ」と自信のない子に育ってしまうかもしれません。
NG行為2:ネガティブな言葉をぶつける
「身体の暴力」よりも「言葉の暴力」のほうが脳のダメージが大きいと言われています。「あなたは本当にダメな子ね」「悪い子ね」などと否定語ばかりを投げかけられて育った子どもは、やる気が育たないため、すぐに諦める子になってしまう恐れがあります。
その結果、無気力が続き、学習困難や学力低下につながることも。ネガティブな言葉を子どもに言い続けてしまわないよう、親御さんは気をつけましょう。
適切に、適度に叱って、たくさん褒めてあげて
子育ては、「叱らない」「指導しない」ことが大切なわけではありません。きちんと守るべきところは「適切に叱って」、良い行動は「本当に親が喜んで褒めて」を繰り返して、お子さんの良い行動が引き出されるはずです。なかなか地道な作業ですが、コツコツ積み重ねていければいいなと思います。