双子はどこで産めば良いの?
最初に双子妊娠が判明したとき、うれしさと同時に、出産はどこの病院でも大丈夫なのかと私は不安を抱えていました。双子を含む多胎妊娠は、妊娠中のトラブルが多く、単胎児妊娠に比べて低体重や早産で生まれる場合も多いと、過去に聞いたことがあったからです。
家の近くの産院は小さいところが多く、多胎妊娠に慣れているのだろうか、何かあった場合スタッフの数は足りるのだろうか、とネガティブなことばかり頭に浮かびました。幸い、お世話になった不妊治療専門クリニックが総合病院と提携をしていたので、NICU(新生児集中治療室)のある総合病院に通うことが決定しました。
双子なのに、下から産むことに
総合病院の方針で、下から産める状態にあれば、経腟分娩が採用されるとのことでした。多胎妊娠は帝王切開のイメージがあった私は、思わず「えっ?」と声を上げてしまいました。
そんな私に、先生は「通常1人目が生まれたら、5分から10分でまた陣痛が来て、もう1人産むからね。子宮口が全開大になっているから、2人目はすぐに出てくることが多いからね」と安心させるように言いました。若干の不安はあったものの、別の大きな病院は家から遠いので、頑張って下から産もうと私は決意したのでした。
2人目が出てこない!!
双子の経腟分娩には、産科と小児科のスタッフ合わせて最大で20人前後が必要だと説明を受けました。スタッフの人数を確保するため、陣痛促進剤を使って計画的に出産をすることに。陣痛促進剤を入れてもらい、内診ぐりぐり(卵膜剥離)で破水。直後に陣痛が来て、第1子を出産しました。しかし、順調なのはここまででした。
待てど待てども、再度来るはずの陣痛が来なくなってしまったのです。「長いと2、3時間かかる人もいるから」と助産師さんに励まされ、分娩台の上で開脚したまま待機することに。しかし、いつまでたっても2度目の陣痛が来ません。結局5時間以上待って、今日はあきらめようということになりました。
翌日、2度目の出産
「明日また陣痛促進剤を使って出産しましょう!」。病室に戻ると医師がそう言いました。私は、「そんなことってある!? またあの痛みを味わわないといけないの?」と状況を受け入れられず、なんとか逃れる方法はないのかと、そんな方法はないのに逃げることばかり考え、夜を明かしました。
迎えた翌日、陣痛促進剤を入れ、内診で破水。直後に陣痛が来ました。第1子の出産時と完全に同じ軌跡をたどっていたので、「さすが双子っ」と思わず心の中でツッコミ。私はそのまま分娩室に運ばれました。そして、第1子から24時間以上経過し、第2子が誕生したのです。
出産時は、何が起こるかわかりません。緊急帝王切開になったり、直前で病院が変更になったり、陣痛が弱くなったり、何かしらのトラブルが起こる可能性があります。しかし、まさか2日連続で出産するとは思ってもみませんでした。お産は思い通りにはならないと聞いていましたが、本当だったのだなぁとしみじみと噛みしめたのでした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:長谷川なぎ/女性・ライター。4回の体外受精の末、2021年に男女の双子を授かった、2児の母。営業事務やコールセンターのオペレーター、イベントスタッフ、工場ワークや物流会社での肉体労働など、学生時代からさまざまな職種を経験。現在は、多彩なジャンルでライターとして活動中。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています