お母さんが学校に着くと、校門の前で偶然、担任の鈴木先生に出くわします。奥さんの出産のため、休んでいた鈴木先生。休みが明ける前に、準備のため学校に訪れていました。
鈴木先生にソウとレクトのトラブルについて、説明するお母さん。「身に覚えのないことを自分のせいにされて、ソウが困惑している」と伝えると、鈴木先生も驚いた様子で、「ソウくんのことはよくわかってるつもりです。その話、ぼくに任せてもらえませんか? 必ず明確にしたいと思います」と力強い言葉をかけてくれました。お母さんは鈴木先生を信頼し、帰宅しようとすると……。
PTA役員のママに突然話しかけられ…
「あの、すみません」
帰宅しようとしたお母さんは、突然声をかけられます。
「6年の高木ミミの母です。さっきの校門での話、聞こえてしまって、居ても立っても居られず声をかけてしまいました」
突然のことに驚くお母さん。ミミちゃんのお母さんは話を続けます。
「実は娘のミミも、レクトくんではないのだけれど、レクトくんのお姉さんとトラブルになったことがあって……」
「えっ……」
レクトにお姉さんがいたことも知らなかったお母さん。ミミちゃんのお母さんによると、レクトには6年生のお姉さんと、その上に高校生のお姉さんがいるそう。
「トラブル中であれば、あの家族、普通とは違うので、知っておいたほうがいいかも……」
ミミちゃんのお母さんの話に、「話せることであれば、教えていただきたいです」とお願いするお母さん。
「レクトくんとトラブルになって、息子が悲しい顔をしているのに、私はレクトくんの顔もよく知らなくて……。本当、情けなくて……」
自分を責めるお母さんに、ミミちゃんのお母さんは、「この学校は児童が多いから、仕方ないです。どうが自分を責めないで」と慰めてくれたのでした。
自分と同じような境遇の保護者を偶然見かけ、声をかけたミミちゃんのお母さん。レクトについて知っている情報を話し、自分を責めるソウのお母さんにやさしい言葉をかけてくれました。子どもが同じ学校に通っている親同士とはいえ、子ども同士のトラブルなどのセンシティブな問題について、声をかけるのは勇気がいりますよね。不安に駆られるお母さんにとって、心強かったのではないでしょうか。ミミちゃんのお母さんのように「困っているならば、少しでも力になりたい」という気持ちを、忘れずにいたいですね。