おなかにお子さんにいることが分かってよろこびいっぱいのなか、体調の不安とともにお金の不安を持たれる方もいらっしゃると思います。今回は、妊娠から出産までの間にかかる主な費用と、それをバックアップする制度をお伝えします。
42万円の出産育児一時金が支給
平成27年度の正常分娩による出産費用の平均額は499,615円でした(※公益社団法人国民健康保険中央会の統計情報より)。都道府県別では、最も高いのが東京都で609,189円、最も安いのが鳥取県の394,087円となりました。
また、出産が無痛分娩や帝王切開であったり、入院する部屋を個室にしたりすると、さらに費用が加算されます。出産費用は病気ではないため、健康保険の適用外ですが、お子さんひとりの出産に対し、加入している健康保険から出産育児一時金で42万円支給されます。
健診・検査・マタニティグッズで費用も
妊娠期間中は定期的に健診・検査が欠かせません。一般的に出産まで14回前後の健診をおこないます。通常は健康保険が適用されないため実費負担ですが、多くの市区町村で健診費用の助成があります。
たとえば、横浜市や大阪市などでは、母子手帳を受け取る際に14回分の補助券も受け取れます。ただし、14回を超えた分の健診・検査は自己負担になりますので、体調や検査結果などによっては数万円かかる方もいらっしゃいます。
また、マタニティグッズ(出産準備用品)は、おなかの大きくなる妊娠後期の衣類のほか、サプリメントやつわり対策グッズなどが必要です。人によってかかる費用にばらつきがありますが、数万円~10万円程度かかるようです。
実際には30万円かかることも
妊娠から出産までにかかる費用をかんたんに説明いたしましたが、公的補助の範囲内で健診・出産であれば、マタニティグッズにかかる費用程度で済みますが、実際には、健診・出産で自己負担をされる方も少なくありません。
たとえば、東京都の平均出産費用と出産育児一時金の差額19万円に、検査の自己負担3万円、マタニティグッズに8万円をした場合の金額を加えると30万円になります。
ご自身のお住まいの地域や無痛分娩や個室を選択するなどの出産方法、マタニティグッズで必要な物を考えながら、出産費用も考えるようにしましょう。妊娠が分かったらすぐに全額が必要なわけではないので、貯蓄や日々のやりくりで準備できるか考えてみてください。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。