以前、保護者参加の学校行事でスマホばかり見ているSさんの母を目撃していたふくこさん。子どもに対してあまり感心がなさそうな様子で、目が合っても無視されたこともあり、違和感を覚えていました。
そして、Sさんの母とつながりのあるPTAの葉山さんに相談してみると、想像以上に複雑な家庭環境が見えてきたのです。
11歳で赤ちゃんの面倒を任された兄
※ヤングケアラー:本来は大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを、日常的におこなっている子どものこと。
葉山さんの話によれば、なんと、乳幼児期のSさんのお世話はすべてSさんの兄がしていたとのこと。
おまけにSさんの母は、子どもたちもいる前で、ホステスとして他のお父さんに名刺を配っていたことも判明。
11~12歳の多感な時期に、赤ちゃんだったSさんのお世話を任されていたSさんの兄。傍目からは、みんなに褒められてうれしそうに見えても、本当は誰かに守ってほしかったのかもしれません。
周囲の大人たちは違和感を覚えつつも、「えらいね」と言葉をかけることしかできなかったとのこと。
「今そのころに戻れたとしても、児童相談所に通報していいものか、きっとまた迷う」と、葉山さんは振り返ります。
暴力や暴言、放置などは、明らかな虐待であると周囲も気づきやすいもの。しかしSさんの兄のように自ら進んで妹のお世話をしているように見えるケースでは、児童相談所に相談していいものかどうか迷ってしまいますね。
しかし、大切なのは子どもたち。
児童虐待とは、身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待などがあります。厚生労働省の公式ホームページによると、通告・相談は【児童相談所虐待対応ダイヤル「189」】から匿名でおこなうこともでき、通告・相談をした人、その内容に関する秘密は守られるとのこと。
もし子どもたちや保護者のSOSを感じたときには、児童相談所に相談してみることも、選択肢の1つとして覚えておくことが大切ですね。