腕を小さく動かして背中の筋肉をゆるませる
――背中をゆるめるための、具体的な方法を教えてください。
犬飼さん まずは、背中で一番大きな筋肉である広背筋をゆるめるための「小さく腕グルグル」という動きをしてみてください。
【小さく腕グルグルの方法】
1. 椅子に座って右腕を曲げ、手のひらを上にします。
2. そのままの状態で腕を真っすぐに下ろし、肩を上げて落とす動作を数回繰り返します。
3. 手のひらを前に向けたまま、少しだけ後ろにずらします。
4. そこから、外回しに小さく円を3回描きます。
5. 左腕も同じように曲げ、腕を下ろした後、肩を上げ下げします。腕を少しだけ後ろにずらし、外回しに小さく円を3回描きます。
6. 両腕で外回しに小さく円を3回描きます。慣れてきたら、6を9回おこなうだけでOKです。
――自分の背中がゆるんでいるか、確認する方法を教えてください。
犬飼さん 立つときには、足の裏全体を使っていることが大切です。体のバランスが崩れていると、どこかに偏りが出てくるからです。
いつものように立って、首から上を下げて足首が見えるかどうかチェックしてみてください。このとき、足首が見えない人は腰が反っていたり胸を張っていたりなど、体のバランスが崩れ足裏全体にうまく体重がのっていない状態です。
足首が見えない人はおへそにチョップをして、足首が見えるところまで上半身を折り曲げてみてください。足の裏全体、特にかかとに重心が移動したのを感じられたら、背中がゆるむ立ち方になっています。
日常生活に10秒でできる動きを組み込んでいく
――教えていただいた方法を試すと、どれくらいで効果を実感できるでしょうか?
犬飼さん いずれの方法もピンポイントに筋肉に働きかけることができるので、一度で効果を感じていただけます。
――「小さく腕グルグル」も背中をゆるめる立ち方も、ほんの10秒ほどでできる動きです。
犬飼さん その通りです。硬くなった背中をゆるめるには、激しく大きな動作ではなく、小刻みで小さな動作をすることが必要です。ですから、この10秒の動きがとても効果的なんです。
――10秒でできる動きを、1日のうちに何度もおこなえばいいのでしょうか?
犬飼さん 硬くなった背中は、一度ゆるんで時間がたって体の動きが元に戻ると再び硬くなってしまいます。背中をゆるめた状態を保つには、こまめに10秒の動きをおこなうことが効果的です。
――こまめに背中をゆるめるためのコツを教えてください。
犬飼さん 10秒という短い時間でも、貴重な時間であることには変わりはありません。毎日、忙しく過ごしているとどうしても優先順位が下がり、背中をゆるめることを忘れてしまいがちです。
例えば、パソコン作業の休憩中や家事の合間、スーパーでレジを待っている間、電車の待ち時間におこなうなど、自分が取り入れやすいタイミングの中に背中をゆるめる動作を組み込むことが、毎日、続けるポイントです。
歩くときには腕を後ろに振る
――普段、歩くときにはどのようなことに気を付ければいいでしょうか?
犬飼さん 大切なのは、背中の筋肉を使って歩くということです。背中の筋肉を使って歩くことができると、それだけで自然に背中がゆるんでいきます。
――背中の筋肉を使って歩くには、どのようにすればいいのでしょうか?
犬飼さん 腕を後ろに振って歩くことを意識してみてください。背中の筋肉を使わないと、筋肉は前側にどんどん引っ張られていきます。しかし、本来、筋肉は後ろ側に集まっているのが自然な状態です。後ろに腕を振って歩くだけで、筋肉の状態を本来の状態に戻すことができるんです。
背中をゆるめて歩けるようになると、日常の動作が取りやすくなります。また、普通に生活しているだけでより多くの筋肉を動かすことになりますから、エクササイズをしているような状態になりダイエット効果も期待できます。
私自身、何十年も悩んでいたひどい肩凝りやぽっこりおなかが解消しました。歩きながら背中の筋肉をよく動かすのは心地良く、一度覚えたらずっと続けたくなるはずです。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
<著書>
『背中をゆるめると健康になる』犬飼奈穂/著 プレジデント社 1540円
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!