大好きな義母と横暴な夫
嫁姑問題なんていうけれど、やさしい義母との同居は私にとって楽しい日々。でも夫はというと、いつもイライラしてばかり。連日連夜飲みに出かけるように……。
「頻繁に飲み歩くのはやめなさいって!」
見かねた義母が注意するも、
「偉そうに! 誰の稼ぎで毎日メシ食えてると思ってんだ!」と暴言を吐く始末。
大好きな義母を傷つけるなんて許せない!
「お義母さんになんてこというの!? これからあなたの分の家事はやらないわよ!?」
と言っても、
「じゃあ、俺はこれから家に金を入れてやらない! いいのか?」
と横暴な態度。
義母は申し訳なさそうに私を見つめます。
「お義母さんは悪くないのに……」私は胸が苦しくなりました。
「離婚して」義母を置いて家を出る夫
「あのさ、俺と離婚して。実は、彼女に子どもができたんだ!!」
夫の突然の申し出に固まる私と義母。
「母さんはお前が面倒を見てほしい。育児だけで大変だろうから、介護までは無理だ!」
と夫は続けます。
「なんて無責任な男なのだろう……」
義母の介護を続けるのは良いのですが、実の息子にこんな扱いをされた義母の気持ちを考えると、私は悲しくなってしまいました。
「お前といくら話しても埒があかない! 俺はもう出て行くから、母さんのことは頼んだ!」
そういって夫は玄関に向かいます。
「なんだよこの車椅子! 邪魔だなぁ!」
去り際には、義母の車椅子を蹴り飛ばし出て行ったのでした。
次の瞬間。
「やっといなくなったぁあ!」とベッドから起き上がる義母。
夫の話を聞いて、さぞ悲しんだと思いきや、
「ここからが私たちの腕の見せ所よ!」と何やら楽しそう……。
浮気相手襲来! 義母が準備していたのは…
数日後、義母とお茶を飲んでいるとインターホンが鳴りました。
モニターを見ると、夫と浮気相手の姿。恨めしそうな顔で睨みつけています。
「お前いったいどういうつもりだ!」と夫。
「あなたたちが不倫している証拠写真が会社に届いた件かしら〜? 私が送ったのよ!」
横暴な態度をとる夫に対し以前から浮気を疑っていた義母は、こっそり身辺調査を依頼したそう。
私に迷惑をかけないよう、浮気の証拠を集めていたのでした。
「車椅子の母さんがそんなことできるわけがない!」
車椅子の義母を舐め切っている夫。
「義母のこと本当に知らないのね。車椅子でもなんでもできるのよ! 協力してくれるお友だちだってたくさんいるんだから」
「車椅子なんて無理!」去っていく不倫相手
「どういうことなの!?」
夫の横に立っていた浮気相手は、みるみるうちに青ざめていきます。
「私、お義母さんが車椅子だなんて知らなかったんだけど! 無理無理無理! 介護なんて無理だから」
そう言い残して、去っていきました。
ちなみに、妊娠は離婚するための嘘。
義母が集めた証拠のおかげで、ガッツリと慰謝料をとることに成功しました。
夫は最低でしたが、最高の義母に出会えた私。
夫とは離婚しましたが、義母とはこれからも仲良くしたいと思うのでした。
◇ ◇ ◇
一番の味方は義母だった今回のお話。よく耳にする義母とのトラブルでなく、義母に助けられた話は、ほんわかと心が温かくなりますね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。