土曜日の深夜、夫の行方は…
友人の仕事を手伝うと言い始めた夫
私たち夫婦は共働きしながら、2人の子どもを育てました。
子どもたちは成人して家を出たことで、私たちは共通の趣味だったウォーキングを再開。毎週日曜日の午前中に2人でウォーキングへ出かけるのが日課になりました。
夫は土日が休みの仕事です。夫が50歳手前のころ「友人に仕事を手伝ってほしいと言われた。土曜日の20時から深夜3時ごろまでの仕事だけどいいかな?」と相談されました。
夫の話によると、「従業員が辞めてしまったらしく、繁忙期で稼働が追いついていないみたいなんだ。俺も職種的に経験があるし、次の人が決まるまでの間だけ手伝おうかなと思っている」とのこと。
仕事の手伝いを頼んできた人物が、工場経営をしている共通の友人だったので、特に疑いを持たなかった私。「わかった。遅い時間だから無理しないようにね」とだけ伝えると、夫は「大丈夫! あと、日曜のウォーキングは絶対一緒にするからね」と言ってくれました。
しかし、平日はフルタイムで働き、土曜日も深夜帯に働くのはしんどかったことでしょう。土曜日は私が寝ている間に帰ってきて、日曜日の夕方まで寝ることも……。
そのため、2人の習慣だったウォーキングもだんだん行けなくなりました。少し寂しい気持ちもありましたが「友人を助ける夫を支えたい」という思いで、ぐっと気持ちを抑えていたのです。
夫の服から香水のにおいが
とある日曜日、いつも通り深夜に帰ってきて寝ている夫。私は洗濯しようと思い、汚れた服を洗濯機に入れていました。そのとき、ふわっと嗅いだことのない香水のにおいが……。
「え?」と思い、洗濯物を確認すると、どうやら夫が工場に着て行ったであろう服からにおっているようでした。「仕事を頼んできた友人も共通の知り合いだし、もうすぐ50歳になるおっさんがまさか妻にうそをついてまで不倫する?」と思いましたが、女性がつけるような香水のにおいと、土曜日の深夜に出歩いているという状況。
私はどんどん悪い想像を巡らせてしまいました。
夫が友人の手伝いをすると外出し始めて2カ月が経過。相変わらず、土曜日に着て帰った服は香水がプンプン……。不倫を疑ったものの、それ以外は不倫していそうな証拠はありませんでした。
「もうこのままでは気がおかしくなってしまう!」と思った私は、仕事を頼んできた友人に連絡を取ることに。「夫が手伝っているという仕事についてちょっと聞きたいんだけれど……」と電話しましたが、友人はなんだか違和感のある話し方をしていました。
「もしかして友人が協力しているのかも……」と思うと腹が立ち、「夫の不倫に協力しているなら、もうあなたとも縁を切るから!」と伝えました。
「え、ちょっと待って! どういうこと? 不倫なんてしてしてないよ!!」と、かたくなに夫の不倫を否定する友人。服に付いた香水のにおいのことなど、ため込んでいたストレスを吐き出した私は電話で号泣。
すると「来週の土曜日、彼(夫)が家を出た後にここまで来られる?」と言われ、その場所は私の住む街から5駅ほどの少し離れた場所でしたが、了承しました。
夫がいたのはまさかの場所で
そして約束の土曜日。夫がいつも通り家を出てから、私も友人との待ち合わせ場所に向かいました。友人と駅で合流し、「とりあえず付いて来て」と言われそのまま歩きました。飲み屋街に入り、夫の不倫の真実味がいよいよ増してきたと思っていたら「君の夫はここにいるんだけど……」と友人は足を止めました。
そこはなんと若者が出入りしているバー。「やっぱり夫は不倫しているんだ!」と思った私は涙が……。しかし、友人は「待って! 不倫とかそういうのじゃないんだ! 彼が挑戦したいっていうから、俺がここを紹介して……」と言いだす友人。
挑戦? 紹介? もう何が何だかわかりませんでした。「50手前のいい年したおばさんがこんな所に入るなんて恥ずかしい……」と思いながらも、早く真実を知りたくて足早に入りました。そこで私は生きてきた中で一番の衝撃を受けることに。
なんと、夫が少し広いホールのDJ台に立っているのです! 夫はどうやらDJをしている様子。にわかには信じがたい光景で、私はしばらく動けませんでした。
そして、不倫じゃなかったという安堵と非現実的な光景に大笑い。不思議とネガティブな感情は湧きませんでした。50歳目前の夫は、毎週土曜日にバーで音楽を流すDJをしていたのです。正確に言えば、DJの修行(練習)をしていたよう。
夫の持ち時間が終わり、友人とバックヤードへ。私がいることに夫は心底驚き、「本当にごめん!」とすぐに謝ってくれました。
そういえば夫は音楽が好きで、ジャンルも幅広く聞いていました。「いつか子どもが巣立って、自由な時間ができたら音楽に関わることに挑戦したい」と思っていたようです。それを友人に話したところ、このバーを紹介されたのだとか。
このバーでは、DJに挑戦したい人が時間制で交代しながら年齢関係なく回しているようでした。最初のうちは友人と練習の時間に使い、1カ月前からバーでDJをし始めたというのです。「でも、うそをつかれたのはショックだった」と言うと、「ごめんね。でも、こんないい年したおっさんがDJしたいだなんて笑われると思ったし、もしかしたら失望されると思って言いだせなかった。自分で満足したら辞めようと思っていた」と言って何度も謝ってくれました。
まとめ
私にうそをついて、DJをしていた夫。まさかの真実にびっくりしましたが、今は夫のやりたかったことを家族で応援しています。DJは少し派手な気もしますが、年を重ねても自分のやりたいことに挑戦する夫を改めて尊敬し、自分も何か挑戦してみようかなと思えるように。夫婦だからこそ言いにくいこともあるのだと実感した出来事でした。今は別々の趣味も、毎週のウォーキングも夫婦で楽しんでいます。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
取材・文/もちだひのっしー
マンガ/へそ
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著者:もちだひのっしー
元保育士のママライター。2歳のイヤイヤ期真っ只中の息子と毎日奮闘中。伝わりやすく執筆できるように頑張ってます!