パニ子は夫・ジュンヤ、娘・パニ美と暮らす主婦。最近寝たきりになってしまった義母を引き取り同居をスタートさせました。介護の日々は忙しいけれど、パニ子は義母が大好きなので、まったく苦に思いません。それよりも最近気になっているのがジュンヤとパニ美がパニ子に対してよそよそしいこと……。2人はなにを隠しているのでしょう。
母親のくせにざまぁねえなぁw
家族の様子がおかしいと感じはじめたのは、ここ最近のこと。
ファッションには無頓着だったジュンヤは急におしゃれに目覚め、香水までつけて出かけるようになりました。
趣味も代わり、女の影を感じることもあったのですが、朝から晩まで義母の介護をしていて、証拠集めをする時間がありません。
しかし、それだけではありません。
ママっ子だったパニ美がだんだんとパニ子にキツく当たるようになったのです。
「ママ、なんなの、このごはん! 手抜きすぎるんじゃない?!」
「ママが買ってきた洋服はダサくて着れたもんじゃない」
「ネズミランドにパパといきたい〜♪ ママとなんか行きたくないの」
「ママなんて家から出て行けばいいのに!」
娘の態度に落ち込むパニ子を見たジュンヤは、慰めるどころか、捨て台詞。
「母親のくせにざまぁねえなぁw」
そういって今日も2人きりで出かけてしまいました。
ようやく時が満ちたようね!
手をつなぎ、仲良さそうに出かける2人の後ろ姿を見て、パニ子は悲しくなってしまいます。
ジュンヤはさておき、パニ美まで……。
最愛の娘まで失ってしまっては、自分の存在意義がなくなってしまいます。
つらくあたられる毎日。自分の存在がパニ美を苛立たせていると感じたパニ子は、ひとり、家から出て行くことを決意しました。
「ジュンヤ、パニ美のことよろしくね。パニ美、パパと仲良くね!」
泣くのを堪え、別れの挨拶をしたそのとき、
「ようやくときが満ちたようね!」
と、パニ美がニヤリと笑いながらいいました。
「お芝居はこれで終わり!」たじろぐ父にニヤリと笑う娘
「お芝居はこれで終わり! 私、平常運転に戻るから」とパニ美。
「お、おい、パニ美。演技って、一体どういうことなんだ?」たじろぐジュンヤ。
「ママのことを本気できらいなわけないじゃない! パパが悪いことばかりしているから、忙しいママの代わりに調査しようと思ってずっと演技してたのよ〜」
ジュンヤの不倫現場を目撃してしまったパニ美は、介護で忙しいパニ子に代わり、ジュンヤにとりいって徹底的に不倫の証拠を集めていたのでした。
「ママはやさしいから、たとえパパの不倫に気づいたとしても、おばあちゃんの介護があるから家に居なくっちゃ、って思うんじゃないかと思って! ママが自分から出て行く決心がつくまで待っていたのよ」
まんまとパニ美の策略にのせられたパニ子でしたが、パニ美に嫌われていないことがわかって安堵しました。
まさかグルだったなんて!
「パニ美ちゃん、ウソはいけないわ! パパが浮気なんてするわけない!」と義母。
無理もない、信頼していた息子の不倫が受け入れられないのかと思いきや、「おばあちゃんこそウソはダメよw」とパニ美は遮ります。
パニ美はスマホのレコーダーを開き、録音データの再生ボタンを押しました。
「くれぐれもパニ子さんにはバレないようにしなさいよ!」
レコーダーから聞こえたのは紛れもなく義母の声。
信じていた義母は、ジュンヤとグルだったのです。
「うまく騙せてたつもりだったんだろうけど、私にしてみりゃとんだ茶番ねw」してやったりのパニ美。
たくさんの証拠を集めていたおかげで、慰謝料をたっぷりとることができました。
不倫が会社にバレたジュンヤは、クビになり無職に。ジュンヤの下手くそな介護で義母もボロボロになったと聞きます。嫁を騙そうとしていた2人にとっては当然の報いといえますね。
父の浮気を見破り証拠を集めただけでなく、祖母の裏切りにまで気づいた娘。そんな頼もしい娘を育てたことは、親として誇らしいことです。この2人なら、この先怖いものなしですね!