職場で出会った彼
当時付き合っていた彼との出会いは、私がバーテンダーとして働いていたお店でした。後輩として入店してきた彼は端正な顔立ちで弁が立ち、女性のお客さまからとても人気でした。
私も素直で明るい彼をかわいがるようになり、休日に飲みに行くような友人関係に。その際に、彼の男女関係やお客さまとの話を聞くうちに、彼がどんなふうに女の子と“遊んでいる”のかを私は知ることになりました。
それから、仕事や休日を一緒に過ごすようになり、次第に男女として惹かれ合った私たちは、5年ほどの友人関係を経て付き合うことになったのです。
浮気してる?
恋人同士になった私たちは同棲を始めました。バーテンダーとして職場が一緒だったため、夜間に働いてそのままお客さまと飲みに出かけ、昼に帰宅して就寝するという、生活のサイクルもまったく一緒。
しかし、2人でゆっくり過ごす時間はあまりなく、お互いのお客さま事情に介入することもなかったので、家と職場以外で彼がなにをしているのか、私はまったく知りませんでした。
とはいえ、彼の“遊び方”を知っている私には、なんとなく想像がついていました。けれど彼が“遊び”に感情を持ちこまないことも知っていたため、とくにヤキモチを焼くことはありませんでした。
バーテンダーでお客さまとの距離が近い仕事柄、変に勘ぐりだしたらキリがない。それでも、彼のことをあまりにも野放しにするのは恋人としてどうなのか。そう思った私は、彼にあるルールを提案することにしたのです。
驚きのルールを提案
そのルールとは「浮気をして帰ってきても、“おもしろい言い訳”をすれば許す」というもの。
「あなたの行動を制限しないけれど、浮気をしていることはわかっている」と彼に認識してほしくて提案したルールでしたが、このルールは彼の行動をより奔放にしていきました。
明らかにホテル帰りとわかるような昼前の時間に帰ってきたり、家のものとは違うシャンプーの香りを漂わせていたり……。それでも、私が浮気を注意することはとくにありませんでした。
浮気をして帰ってきた彼の“おもしろい言い訳”で、私が一番笑ったのは「どこに行っていたの?」という質問に対する「え?俺、ずっとここにいたよ」という彼の返事です。とぼけた様子と絶妙な間(ま)のせいもあり、悶絶するほど笑ったのを今でも覚えています。
浮気がまったく気にならなかったというわけではないのですが、私がそこまで傷つかなかったのは“彼との友人関係の長さ”と、“おもしろい言い訳”のおかげかもしれません。
彼に対しての「好き」は、恋人に向ける「好き」よりも、友だちとしてのほうが大きかったのだと思います。
恋人関係は千差万別だと思います。友人の延長のような関係は楽しかったけれど、自由な元彼との生活は正直ヒヤヒヤするときもありました。今は、毎日決まった時間に帰宅するおだやかな夫との生活にホッとしています。
著者/つちやです
イラスト/マメ美
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