双子を出産したばかりのパニ子。体へのダメージは大きいけれど、かわいい子どもたちに会えた喜びで、つらさは吹き飛んでしまいました。夫のユキヤもすでに赤ちゃんたちにメロメロ。幸せしかないパニ子たちでしたが、ひとつだけ困ったことがあって……。
「産後ですけど!?」呼んでいないのにやってくる義母
実はパニ子は義母が大の苦手!
なかなか子どもに恵まれなかったパニ子夫婦にイヤミばかりいっていたことは、忘れられそうにありません。
遠慮を知らない義母なので、予定日も退院予定日も、入院している病院も知らせていませんでした。
産後の経過は順調で、予定通り退院したパニ子。
幸い、ユキヤも育児に積極的なので、里帰りはせず自宅に戻ります。
ピンポーン♪
それは退院した翌日のこと。インターフォンがなったので、ボロボロの体を引きずりながらドアを開けると、まさかの義母。
なんとアポなしで押し掛けてきたのです。
「退院の日を教えないから、3日も通ったじゃないの!」
義母は入院中も毎日来ていたようで、苛立っている様子。
産後で本調子ではないパニ子には目もくれず、ズカズカと上がり込みます。
「結婚式に合わせて妊娠なんて、嫌がらせ?」
義母が鳴らしたインターフォンで、昼寝から目を覚ました双子は号泣! 新米ママのパニ子はアタフタしますが、義母は手伝おうともしません。
泣いている声が聞こえないのか、話を続けます。
「あなた、どうして結婚式に出席しないのよ!」
実は2日後には、ユキヤの兄・アキトの結婚式が控えています。
義兄夫婦には申し訳ないと思いつつも、産後間もないパニ子とユキヤは欠席すると返事をしていました。
パニ子は、わからずやの義母に丁寧に説明をしました。
「私、まだ産後まもなくて体がつらいんです。ミルクを作るために歩くのがやっとで長時間座っているのはちょっと……。それに、双子を外に連れて行くのも心配なんです」
「双子はあなたのお母さんに預けなさいよ! それに座っていられないなら立っていればいいじゃない!」と、義母は譲りません。
「だいたい、結婚式に出産を合わせてくるなんて、嫌がらせじゃない! 結婚式には這ってでも来なさい!」
何が何でもパニ子夫婦を結婚式に参列させたい義母。そこまでいうなら、パニ子にも考えがあります。
パニ子は結婚式当日に向けて、準備を進めることにしました。
「たかだか出産したくらいで……」
こうして迎えた義兄の結婚式当日。
結婚式用の服を準備できなかったパニ子は、普段着で式場に向かいます。双子は母に預けたものの、直前までお世話をしていたので、服も髪型もボロボロです。もちろん、本調子て長く立っているのはキツいため、車椅子を用意しました。
ユキヤは心配そうにしていますが、ここで引き下がるわけにはいきません。
普段着&車椅子で親族控室に入って行ったパニ子は、注目の的!
「なんて恰好! それになんで車椅子!? たかだか出産したくらいで大げさなことしないでよ」と義母。
しかし、「出産後!?」「大丈夫かしら」ざわつく親族を見て慌てています。
「這ってでも来いといわれましたが、這うとおなかが痛いので車椅子にしました!」
追い討ちをかけるパニ子に、嫁母が声かけます。
「産後だなんて……ずっと座っているのもつらいでしょ。控室でお休みになる?」
「いいえ〜座っているのがつらいというと、お義母さんに立たされてしまうのでお構いなく! 産後だったので欠席する予定でしたが、お義母さんがわざわざ退院した次の日にうちに来てくださって誘ってくれた結婚式なんで、来ないわけにはいきません。双子がギャン泣きしているのを無視してまでピンポン押してくれるなんて、よほど私に来てほしかったということですもんね」
嫁の体を労わない姑の末路
「お宅は嫁に対してそんな仕打ちをしているのか?!」
「そんな人と親戚になるなんて、まっぴらごめんだ」
義母の異常性に気付いた嫁父と嫁母。
そこに義兄夫婦がやってきます。
「母さん、そんなことをパニ子さんにいったの? 欠席でいいっていったのに! 俺の大切な妻にまでそんなことをするのかと思ったらぞっとするよ!」
そういって、義母を式場から追い出したのでした。
これまでも義兄やユキヤの彼女に嫌がらせをしていたという義母。これをきっかけに、子どもたちから縁を切られてしまいました。
その後ユキヤは式に参列。パニ子は義兄が用意してくれた部屋で体を休めることになりました。
義兄夫婦の計らいで、披露宴で出されたフルコースを部屋でゆっくり堪能したパニ子。
やさしい家族に囲まれて幸せだと実感したのでした。
産後のダメージは母体にとって相当のもの。元気そうにしていても、無理をさせてはなりません。夫はもちろん、周りのすべての人が気遣うことができるといいですね!