自分の子を姫呼びっておかしくない!?
20代後半のあるとき、学生時代の女友だち2人(A子とB子)と久しぶりに会うことに。当時私は独身でしたが、ほかの2人は既婚でA子には男の子、B子には女の子がいました。久しぶりの再会に話が弾みましたが、徐々に私には気になることが。B子が「うちの姫がさ~」と、自分の子どもを「姫」と呼んでいたのです。「自分の子を姫と呼ぶってどうなの? 恥ずかしいし、自分だったら絶対にありえない……」と思った私。しかし、その場では指摘しませんでした。
30代になり私も結婚し、2人の子を授かりました。第2子として生まれた長女は、1歳を過ぎたころから「あれはイヤ、こっちがいい」「お兄ちゃんよりも先に抱っこして」などと動作と表情でアピール。機嫌を損ねるとすぐにぐずるので、さながら姫に仕える従者のようにご機嫌を取りながら日々の子育てに奮闘。そして、いつしか「姫なんて恥ずかしい」と思っていたことはすっかり忘れて、「今日も姫が大変だったよ~」「うちの姫のわがままが大変で……」と夫や友人に話すようになっていたのです。
ある日、昔の写真を見返していたところ、A子とB子と集まったときの写真が。そこでようやく、私も当たり前のように子どもを姫って呼んでいることに気がつきます。当時は「ありえない」とまで思っていたのに、今では当然のように人前で娘を「姫」と呼ぶ私。かわいいお姫様という気持ちもありますが、「わがままなお姫様」というニュアンスも強いです。「当時、B子も今の私と同じような気持ちで使っていたのかもしれない」と、子育ての苦労も知らずに否定していた自分を反省しました。これからは相手の気持ちや言葉の真意を想像できる人間になりたいと思いました。
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作画/Pappayappa
著者:宇山のぞみ
夫と発達に遅れのある3歳の男の子と1歳の女の子の4人家族。近くに住む両親や義両親にも助けてもらいながら育児を楽しんでいる。