パニ子は夫のゴローと娘のパニ美、義両親の5人でゴローの実家に同居しています。関係性は良好なのですが、義妹のマリカのことだけは好きになれません。それはどうしてかというと……。
セレブをひけらかす義妹
パニ子の家には、ゴローの妹のマリカが娘のミナを連れて遊びに来ます。パニ美とミナは姉妹のように仲良しで、見ていて微笑ましいのですが、パニ子はマリカが大の苦手です。
マリカの夫はこの地域では誰もが知っている企業の次期社長。たまたまセレブ婚に成功しただけなのに、すっかり上流家庭気取りのマリカは、何かにつけて生まれ育った家庭を貧乏一家と見下します。
遊びに来てもいつも不機嫌で、嫌味ばかり。
「お義姉さんってさあ、働いてるんでしょ? 結婚してまで働くなんてかわいそうね。呉服屋さんだったっけ?」
とパニ子の仕事までバカにする始末。
呉服屋の仕事に誇りを持っているパニ子は、さすがに腹を立てますが、パニ美はミナが大好き。2人の関係性を崩さぬよう、グッと堪えたのでした。
七五三なんて古臭い!
パニ美とミナは七五三のお祝いをする年。「ミナと一緒にお祝いしたい」というパニ美の希望もあり、パニ子は渋々マリカに電話をかけます。
「来月近所の神社で七五三のお祝い会があるの。パニ美がミナちゃんと一緒に行きたいというので、一緒に行かない?」
すると予想通りの返事が返ってきます。
「七五三なんて古臭い田舎行事行くわけないじゃない! ミナを連れていきたいのなら勝手にどうぞ、私は行かないから」
七五三は子どもの成長を願う由緒正しい行事なのに……。マリカは着物や七五三のような伝統的なものをダサいものと決めつけて、バカにしているのです。
せっかくの晴れの日。親が見られないのは残念だと考えたパニ子は、マリカの夫に連絡。ミナは父子で参加することになりました。
晴れ着、地味だったから染め直してあげた
パニ美のためにかわいらしい晴れ着を仕立てたパニ子。待ちに待った七五三の朝、マリカから電話がかかってきます。
「あれ〜誰もいないの? まぁいいわ、入るわね!」
休日の朝は家族でウォーキングに行く習慣のあるパニ子一家。それを知っているマリカは、わざわざ留守を狙ってやってきます。
「これがパニ美ちゃんが着る晴れ着ね。わー想像通り地味で古臭い柄ね。染め直してあげる〜!」
なんとマリカはリビングに置いてあった晴れ着に醬油を塗って、黒いマダラ柄にしていたのでした。
「パニ美がこの着物見たら、きっと泣いて喜ぶわよぉ〜」
義妹の盛大な勘違い
「パニ美の着付けはもう終わってますがw」
晴れ着を楽しみにしていたパニ美は、朝のウォーキングの前に晴れ着を着て、朝一で神社にお参りをしにきていました。
「じゃあ、テーブルに置いていた晴れ着って、まさか……」
「ああ、それ、ミナちゃんが着る予定の晴れ着よ! この後私着付けを頼まれていたの」
マリカは、夫が用意した娘用の晴れ着に醤油を塗りたくっていたのでした。
「家宝が台無しだ!」エセセレブだった義妹の末路
「お前なんてことしてくれたんだ! この着物で3歳の七五三を迎えるのは、我が家の伝統だったのに!!」
自宅に戻ると、激怒しているマリカの夫と悲しそうにしているマナの姿が。
見るも無惨に醤油まみれになった晴れ着は、代々着ている貴重なものだったよう。
「本当にとんでもないことをしてくれやがったな!!!」
家宝ともいうべく、大切な代物をダメにしたマリカ。セレブ一家が代々守ってきた晴れ着には、きっと相当な価値があったに違いありません。
付け焼き刃のセレブ気取りでは本当の価値がわからず、家宝に加え娘の七五三まで台無しにしてしまったのでした。
真の価値を理解しようとせず、うわべだけを見ていると、痛い目を見ますね。何事も自分の主観で判断せず、本質を見極めたいものです。