私は母子家庭で、生活に余裕はありませんでした。毎日必死に働く母をラクにさせてあげたいと、私は勉強も運動も頑張って、成績上位をキープするために努力していました。学級委員や生徒会長も務めて、先生や友人からの人望も厚かったと思います。
そんな私を彼女は、よく思ってくれていませんでした。何かとマウントを取られたり、教科書を隠されたり、貧乏人とバカにされたり……。
そんな中学時代を過ごして、私は高校生に。彼女とは別の高校に進学したため嫌がらせからは解放されましたが、彼女と彼女の母親の悪評は中学時代と変わらず、近隣の地域では有名でした。
その後、私は特待生制度を利用して大学に進学。卒業後は就職し、職場の上司と結婚、出産しました。子育ても落ち着いてきたので、今は仕事をしながら家事に育児に奮闘中。母と同居しているため、いろいろと手伝ってもらえてとても助かっています。
私を見下す彼女と偶然の再会…
私は今、家族でタワマンに暮らしています。引っ越すとき、母は涙を流して喜んでくれました。苦労をかけた母にラクをさせてあげたいという夢が叶って、私もとてもうれしかったです。
ある日、私は娘と出かけようとエントランスを歩いていると、中学時代、私をバカにしていた彼女と、その母親の姿が目の前に……。
私が驚きすぎてフリーズしていると、私を見つけた彼女は、相変わらずの上から目線で話しかけてきました。久々に強い嫌悪感を覚えました。「貧乏人のあんたが何でこんなところにいるのよ?」と聞く彼女に私は、ここに住んでいると答えました。
すると彼女は、「貧乏なくせに無理しちゃって」「どうせ旦那も大した稼ぎがないんでしょ?」「低層階じゃタワマンに住んでるとは言えない」「あ、事故物件に住んでたりして」などと罵倒の嵐……。
そして、彼女は母親となにやら話して、「こいつにだけは大きな顔をさせたくないの!」と言い放って、どこかへ行ってしまいました。
数日後、私は再び彼女たちに遭遇。なんと、引っ越しのあいさつをされたのです。「あんたより上の階に引っ越したから」と言います。この前は下見にきていたそうで、私と再会したことで、自分の足の下に住まわせたいと引っ越してきたそう。そしてさっそく階数マウントを取りにきたのです。
これから彼女と頻繁に顔を合わせるようになるなんて……と、私ががく然としていると、一緒にいた娘がひと言。
「ねぇ、ママ? 屋上って住めるの?」と、不思議そうに聞いてきたのです。
娘のひと言をきっかけにスカッと♪
彼女は、低層階に無理して住んでいると決めつけていますが、実際に私たちが住んでいるのは最上階なのです。
娘が疑問に思うのも無理はありません。しかし、彼女は鼻で笑って「見栄張らないでよ〜。そこらでサラリーマンしてるあんたの旦那がタワマンの最上階を買えるわけないでしょ」とバカにしてきます。
彼女の言う通り、確かに夫にはタワマンの最上階を買う財力はありません。ここを買ったのは私なのです。私の夢は、母にお金に余裕のある生活をさせてあげること。それを手が届くはずがないと思っていたタワマンに暮らすことで叶えたのです。
そして、私はもう1つ、母のように頑張っているママを支える会社を作りたいという夢を実現しました。産後に、思い切って起業したのです。周りの助けもあって、会社はすぐ軌道に乗り、あっという間に大きくなっていきました。
学生時代の友人たちや、前いた会社の同僚など、働くママたちとその家族が私の事業に賛同してくれて、協力してくれたのです。そうして会社は大きくなり、私は夢を叶えることができました。
私が自分で会社を経営していると知った彼女は、顔を真っ赤にして地団駄を踏んで、母親に「ここより高いタワマンを買って!」とキレています。「かわいそうにねぇ。今すぐ違うお部屋を探しましょ!」と彼女をなだめる母親。
何がかわいそうなのだろうかと私が不思議に思っていると、彼女の母親に電話がかかってきました。彼女の父親からです。母親が電話に出るや否や、父親は漏れ聞こえるほど大声で怒り狂っていました。
どうやら彼女の母親は黙ってタワマンを購入していたようです。「何度言ったらわかるんだ! 娘を甘やかすな! わがままに無駄金を使うな!」と、ブチギレている声が漏れ聞こえてきます。そして、「お前が無駄に使っている金は俺が苦労して稼いだ金だ! 次はもうないと言ったはずだ! 離婚だ!」とまで言われていました……。
何でも手に入る裕福な生活から転落
後日、彼女の両親は本当に離婚に至ったようです。その後、彼女と母親は一緒に小さなアパートに暮らし始めたと聞きます。彼女も母親も生活のために働き始めたそう。しかし、今まで働いたことがなかった彼女は、何をしても続かず、苦労しているのだとか……。
今は、どこでどんな生活をしているのか知りませんが、生まれて初めての苦しい生活にきっと大変な思いをしているはず。お金を稼ぐことの大変さや、人との付き合い方など、生きていくために必要な大切なことを勉強してほしいなと思います。
私は今でも、娘と夫、そして母とタワマンで幸せに暮らしています。家族のことも、会社の社員のことも大切にして、これからも穏やかに過ごしていくつもりです。
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苦労する母のために学生のころから努力を続けて、大人になってしっかり親孝行ができていて、本当に素晴らしいですね。望みを叶えるのに近道はないのだということがよくわかりますね。努力せずわがままを叶えても、どこか満たされないからこそ、マウントを取ったり、人を見下したりしてしまうのかもしれません。父親の財力を失った彼女には、苦しい生活をすることで人として成長してほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。