義母に料理を習うなんて!
ある日、娘の遠足のためにお弁当を用意した私。しかし、帰宅した娘から「また塩と砂糖を間違えて作っていたよ」と言われてしまいました。
娘は甘い卵焼きが好きなため砂糖を多めに入れていたつもりでしたが、実際に入っていたのはなんと塩! 「しょっぱかったでしょう」と謝ると、娘はその卵焼きを友人と交換したと言うではありませんか。
友人にも迷惑をかけてしまったのでは、私はその子と彼女の母親に謝ることに。
そのママ友は「いいのよ、そんなことで謝らなくって」と笑ってくれました。私が、自分の料理下手について相談すると、「そうなのね~。私は義母から料理を教えてもらったのよ。仲良くなれたし、夫の好きな料理も学べた。あなたもそうしてみたら?」とアドバイスしてくれました。
しかし私は、義母と並んでキッチンに立つ自分を想像することができなかったのです……。
その理由は…
私が義母に料理を教わるのをためらってしまうのには、とある理由がありました。
それは自分が義母に好かれていないと自覚していたから。というのも、私が義実家へ行くたびに、何かと嫌みを言ったりそれとなく嫌がらせをしてきたりするのです。
夫もそのことを知っており、私が義実家に近寄らないことも理解していました。
そのため、「あのね、私、お義母さんにお願いして料理を教わろうかな……」と言いだしたことに、夫はびっくり。私たちの関係がさらに悪化しないか心配しているようでした。
一方の娘は、義母の作る料理が好きだったため大喜び。「ママが料理じょうずになったらもっとうれしい」と期待に満ちた目を向けてきました。こうして3人で一緒に義実家を訪ねることになったのです。
「苦手な食べ物とかあるの?」
久しぶりに義実家に顔を出した私たち一家。義母は、はきはきとあいさつをした娘を褒めたかと思えば、「どこかの誰かさんの子どもとは思えないわよねぇ〜」と私をチラ見。私は萎縮してしまうばかりでした。
料理を教わるつもりで来たものの、義母はひとりで食事の支度をしてしまい、私の出る幕はなし。しかし、その料理の腕前はすごく、義母の料理はやっぱりおいしいと思いながら食事をしていました。
すると、「あなたは苦手な食べ物とかあるの?」と聞かれたのです。言いよどんでいると、娘が「ママの苦手な食べ物、知ってるよ〜」とひと言。
それを聞いた義母は「教えて教えて」と詰め寄りました。「孫を使ってまで聞き出そうとするなんて……」と苦々しく思った私は、観念して苦手な食べ物を伝えることにしました。
翌週にご招待
それはキノコとピーマン。ところが義母はホクホク顔で、「来週もいらっしゃいな」と言いました。
私は、自分の苦手な料理が出てくるだろうと予想がついたので断ろうとしましたが、理由を探している間に「決まりね! お昼に待ってるからちゃんと来て!」と半ば無理やり約束させられてしまいました。
これはもう、料理を習うことはかなわないだろうと、私は当初の目的を諦めたのです。
翌週、義実家を訪問すると……。予想通り、テーブルの上には大量のキノコ&ピーマン料理が! ニヤニヤとした嫌み全開の笑顔でこちらを見る義母に、私はいら立ちを覚えましたが、子どもの前で好き嫌いはできないと料理に手を付けました。
あまりの衝撃に涙
意を決してキノコをひと口食べた私。義母は私が嫌そうな顔をするだろうと思っていたようでしたが……。私はあまりのおいしさにビックリ。次々と食べてしまいました。そう、なんと義母の料理の腕が良すぎたせいで、私の苦手な食材も絶品に変身していたのです。
料理のおいしさに感動し、苦手なものでも食べられると喜ぶ私の姿を見た義母は思わず涙。私が驚いていると、義母はぽつりと「うれしくって……」とつぶやいたのです。
義母はこれまで家族のために料理を作っていましたが、誰からも「おいしい」と言ってもらえず、寂しい思いをしていたそう。そして、料理が下手なのに夫や娘と仲良く暮らしている私がうらやましくなり、嫌がらせをしてしまっていたというのです。
「自分が愛情を込めて作った料理を、誰も褒めてくれなくて悲しかった」という義母の気持ちを理解した私は、彼女への印象が変わりました。そして、今までのことを水に流し「私も家族に喜んでもらえるおいしい料理を作りたい。お義母さん、私に料理を教えてください」と改めてお願いしました。
その後、週に2、3回義母から料理を教わっている私。今では月に1回義両親を自宅に呼び、食事会を開催できるようにもなりました。
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料理をおいしいと言ってもらえない寂しさから嫌がらせをしてしまった義母。「おいしい」はもちろん「ありがとう」など、ささいなことでもしっかりコミュニケーションを取ることが大切ですよね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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