パニ子は29歳、専業主婦。
夫コウタは、大企業で本部長をしています。
パニ子は最近、2年後しの挙式に向けて張り切っていました。
運命好きな、憎き元彼
結婚式には、夫コウタの取引先の偉い方もたくさん見えるようです。
しかしその幸せな準備の最中、コウタの口から元彼ダイゴの名前が……。
パニ子は驚きます。気になったものの、散々な目に遭った相手だったので、深く尋ねもしませんでした。
ダイゴ……それは、大学時代の元彼。
イケメンの彼に告白され2カ月ほど付き合ったのですが……付き合ったとたんに連絡が減り、パニ子から連絡しても「忙しい」の一点張り。
しびれを切らした彼女は、ついに彼のアパートまで押しかけたのでした。
そこに電話をしながら帰ってきたダイゴは、別の女の子に甘い言葉をかけていて……。
まさにそれは、数カ前にパニ子が聞いた告白と同じ!
運命という言葉を連呼する積極的なアプローチに、「結婚したい!将来まで考えている」という言葉まで……。
パニ子はショックで、走ってその場を立ち去るしかありませんでした。
しかし、あまりの悔しさから、後日パニ子は彼の新しい彼女を見つけ出し、彼の本性をすべて暴露。盛大にフラれたようです。
ダイゴとは、それっきり。そしてパニ子は大学卒業後、就職先でコウタに出会い、無事ゴールイン。幸せに過ごしていたのでした。
ついに事件が!
いよいよ式当日。
最近食欲の止まらないパニ子は、ドレスが窮屈な様子。
しかし、「パニ子はいっぱい食べていいんだよ!」というコウタのやさしい言葉に元気をもらい、参列者のお出迎えに笑顔で出かけたのでした。
しかし、そこに現れたのは……あの憎きダイゴだったのです。
「サプラーイズ!」
コウタの取引先として現れた彼は、美人の奥さんを連れていました。
いかにも今の幸せを自慢しているかのような様子に、パニ子は気分が悪くなり……。
とうとう、ダイゴとの過去を打ち明けたのでした。
コウタは怒り、彼を追い出そうとしましたが、大切な式でトラブルを起こしたくないというパニ子の気持ちを受け入れてくれました。
気持ちを入れ替え、2人は幸せな披露宴を楽しんでいました。
しかし、それがダイゴには気に食わなかったのでしょう……。
大立ち回りのあとに知る真実とは…?
悪酔いして高砂席にやってきたダイゴは、まわりの招待客を押しのけ、妻の静止も聞かず、挙げ句自分とパニ子との関係を堂々と暴露。
「俺にフラれたショックで太ったかw みっともない花嫁だなw」
「ってかそれ、ビールっ腹ってやつだろ!?ww」
そう言いながら、無理やりパニ子にビールを飲ませようとしてきたのです。
場は混乱し、大騒ぎ。
そこで、取り押さえられたダイゴに知らされた真実とは……。
「ここにいるほとんどの人が知ってると思うけど、私、妊娠中なんだけど……?」
奥さんが平謝りする中、ダイゴの真っ赤な顔は真っ青に変わっていきました。
後日、ダイゴは運命の妻に三行半を突きつけられ、離婚。
会社でも居場所を失い、両親にも見捨てられ、孤独で無職のバツイチ借金まみれとなったのでした。
「運命」という言葉の安売りなんて、するものではなさそうですね。