パニ子は妊活中の主婦。夫のユウダイも子どもを授かる日を心待ちにしていたものの、一向にその日はやってきません。
最初はやさしく声をかけていたユウダイでしたが、今ではイライラしているようで、パニ子は次第にプレッシャーを感じるようになってしまいました。
「お前に問題があるんじゃないの?」
今月も子どもを授かることができなかったパニ子夫婦。ユウダイはあからさまに大きなため息をつきます。
思いやりのないユウダイの態度にパニ子は腹を立てますが、ここで争ってもしょうがありません。「また来月頑張ろう!」と明るく声をかけました。
しかしユウダイの口から出たのは、あまりにひどいセリフでした。
「これだけ妊活しても子どもができないなんて絶対におかしい! お前に問題があるんじゃないの? だってお前の親は高齢出産だし、ひとりっ子だろ? 遺伝だろ!」
まったくの言い掛かりに心底呆れたパニ子。
なんの根拠もなく子どもができないことを人のせいにし、両親を悪く言ったことは許せません。
妊活続けていいのかな……
そうまで言うのならこの際ハッキリさせようと、パニ子はユウダイを不妊検査に誘いました。しかし自分にはなんの疑いもないと拒否!
パニ子はひとりで検査を受けることにしました。
検査の結果は「異常ナシ」。これで不妊はパニ子のせいではないことが証明されました。
それを聞いたユウダイは「検査の結果が間違ってるんじゃないか? もう1回行ってよく調べてもらえよ」と結果を疑うばかり。
こんなにギスギスした状態では、妊活を続けて良いものか悩んでしまいます。
それからというもの、ユウダイもあからさまにパニ子を避けるようになり、妊活は一向に進みませんでした。
モラハラ夫の信じられない行動
ある日パニ子が家に帰ると、見知らぬ女性がリビングのソファに座っていました。
「はじめまして〜♡ ユウダイさんとお付き合いさせてもらってるユウミです!」
「俺さ、やっぱ子ども産める人と再婚するわw」
ユウダイはニヤニヤしながらパニ子を見て、信じられないことを言うのです。
「欠陥があるお前は用済み! 俺とは離婚してくれ」
怒りを通り越し、情けなくなってしまったパニ子。荷物をまとめ、家を出ることにしました。
モラハラ夫の離婚後
数年後、とあるショッピングモールで再開したパニ子とユウダイ。久しぶりに見たユウダイは、くたびれた服を着て髪はボサボサ、やけに老けて見えました。隣にはユウミが立っています。
ユウダイはパニ子が抱っこしていた子どもを見て、
「お前不妊症じゃなかったのか?」と、今だに言うのです。
「検査の結果、問題なかったって言ったよね? 私の子どもよ!」
かわいい子どもに恵まれ幸せそうなパニ子を見て、ユウダイとユウミは悔しそうな表情を見せます。
今思えば、モラハラ夫だったユウダイ。ユウミが幸せなワケがありません。職場でも同じような態度をとっていたので、きっと出世もしていないのでしょう。あのとき、離婚を選択した自分は間違っていなかったと確信したパニ子でした。
あまりにひどい暴言の数々には、見ているこちらも言葉を失ってしまいますね。できることなら二人三脚で取り組みたい不妊治療。原因や負担を押し付けることなく、支え合いながら乗り越えていきたいものですね。