パニ子は娘・パニ美が生まれたタイミングで子育てに専念するために専業主婦になりました。夫・タカマサも協力的で、家族を支えることに生きがいを感じているのですが、パニ子の頭を悩ませているのは、クセのある姑のこと。専業主婦になった途端態度が一変したのです。
「専業主婦のお前は息子の金をアテにしている」
タカマサの不在時を狙ってやってきて、家事に口出しをする姑。驚くほどに細かいところまでチェックし、「専業主婦なのだから怠けるな」とイビるのです。
「パニ子はタカマサのお金で遊んで暮らそうとしている」と思い込んでいる姑。仕事をしているときは知るよしもなかった本性を知って、パニ子は唖然としてしまいます。
意地の悪い姑ですが、同居しているわけではないので我慢しようと思っていた矢先、姑は大きな荷物を抱えて訪ねてきます。信じられないことに、家を引き払ってパニ子家族と同居するのだと言い張るのでした。
地獄の日々も夫のために耐えるのみ……
そんなこんなで仕方なしに始まった同居生活はパニ子にとって地獄の日々。姑の勝手な行動に申し訳なさそうにしているタカマサも、パニ子がイビられていることは知りません。
姑の目的は、パニ子の監視。何ひとつ手伝わず、家事はすべてパニ子に押し付けて文句ばかり。何かにつけて「タカマサに養ってもらってるんだから完璧にやってくれなくちゃね」という姑にはうんざりです。
姑のイビリをタカマサに言いつけたいのはやまやまですが、仕事が忙しくまさに今は大切な時期。グッと抑え、姑の暴言に耐えるのみです。
粗探しする姑が次に文句をつけるのは
パニ子も負けていません。姑に文句を言われないように家事をこなしているので、もはやイビれるようなところはありません。それでも無理やり粗探しする姑は、ある日買い物のレシートをゴミ箱から拾い、パニ子を怒鳴りつけてきたのです。
「ちょっと! このお肉高いわよ! あとこの卵も!!」
近隣のスーパーを周り、一番安いものを買っているパニ子は納得がいきません。しかし姑は、「タカマサの稼いだお金を無駄遣いするな」と言い、10円でも安く買うために10km先にある隣町のスーパーまで行けと命令しました。
自転車で買い物に行っているパニ子は、さすがにそこまで遠いスーパーはチェックしていないし、数十円安いとはいえ片道30分以上かけるのは割りに合いません。
しかし絶対に譲らない姑は、しつこく隣町のスーパーに行くように言うのでした。ここまで言われたら、パニ子にも意地があります。翌日は隣町のスーパーまで自転車をとばして出かけることに決めました。
嫁イビリの末に……
隣町のスーパーを数件ハシゴし帰宅したパニ子。気づけばタカマサが帰宅している時間。あまりに帰ってこないパニ子を心配したタカマサが出迎えてくれました。
姑はパニ子が買い物に行っていたことを知っているはず……。きっと自分が10km先のスーパーに行けと命令したことが知られたくないのでしょう。焦って取り繕っています。
「パニ子さん、も、もしかして道に迷っちゃった? おっちょこちょいね!」
しかしパニ子には、それに合わせてあげる気はさらさらありません。
「隣町まで行ったら遅くなりますよ〜! お義母さんの教えに従って隣町まで行って、スーパーを何件も回りましたからね!」
「なんでわざわざそんな遠くまで行ったんだ?」タカマサは怪訝な顔。
「だってお義母さんがそっちのほうが10円くらい安いから、時間かかっても行くようにって!」
そこからはノンストップ! 姑のいびりの数々をタカフミに披露しました。
「夕飯遅くなっちゃってごめんね! もっと早く家を出たかったんだけど、専業主婦たるもの、窓の枠から冷蔵庫の裏、洗濯槽の中の掃除まで、毎日全部ひとりでやるものだってお義母さんに言われてるからさ!」
タカフミの前では理解あるやさしい姑を装っていたのに、すべてがなし崩しになった瞬間です。家事は2人で分担していると思っていたタカフミは激怒! 姑は家から出て行ってもらうことにし、また穏やかな3人の生活を取り戻せたのでした。
物価の高騰が止まらない昨今、安い商品を求めることは必至です。しかし、それに見合わない時間と労力をかけては意味がありません。今回のケースはただの粗探しでしたが、家計を支える主婦や主夫は、価格・時間・労力まで踏まえた賢い買い物をしたいですね。