どこからともなく現れて会計を押し付ける義両親
1年目の結婚記念日。私と夫は高級な寿司屋を予約していました。
しかし、一抹の不安が頭をよぎる私。それはもちろん義両親のこと。このところ、なぜか私たちが食事をするレストランに義両親が現れ、会計を押し付けられているのです。
あまりに頻繁に遭遇するので、もしかしたら夫が連絡をしている?と疑う気持ちも捨てられません。
夫は「フラッとこられるようなところじゃないから大丈夫でしょ」と気楽に構えているのですが、今回も同じことにならないかと心配になってしまいます。
結婚記念日に頭をよぎる「離婚」の2文字
そして迎えた結婚記念日当日。私と夫は予約をしていた寿司屋のドアを開けました。
「あ、きたきた! 遅いじゃない〜」
お店に入った瞬間、義母の声が……。恐る恐る視線を向けると、義両親と義妹が大量の料理をテーブルに並べていました。
「私たち、先に食べ始めちゃったわよ! これでもう安心ね。好きなだけ食べなさい〜」と義母。今日も夫に払わせる気満々のようです。
がっかりして、離婚が頭をよぎった私。
しかし夫は、「大将、予約していた席をお願いできますか?」と義家族をスルーして、2階席へと進んで行きました。
夫は義父母と義妹がやってくることを予想し、個室の特別席を予約していたのでした。私はその気遣いがうれしく、夫と2人きりでの食事を満喫することに。
支払いを押し付ける義両親に夫は…
楽しい食事を終えて帰ろうしたそのとき、1階からもめている声が聞こえてきます。騒いでいるのはやはり義家族。義父が、「父さんたちの分も支払うよな!?」と夫に助けを求めています。
しかし、夫はそれを完全に無視。私たちは事前にコース料金を支払っていたため、会計をすることなくそのまま出口へ向かいました。
いつもなら当然のように夫に支払いを押し付け、さっさと先に帰っていた義両親ですが、今回はそうはいきません。
寿司屋の大将が、夫に支払いをなすりつけようとする義両親をぴしゃりと一喝。
「別々の予約で席も別。会計も別々に決まってるじゃないか! あんたたちが自由に飲み食いした分を、こちらさんが払う筋合いなんてあるわけないだろう。払えないなら警察を呼ぶしかないなぁ〜」
毅然とした態度で一蹴してくれたのです。
諦めずに夫にすがる義母でしたが、夫はその手を無表情で振りほどきました。
「俺、もうあんたたちのこと、親とも妹とも思ってないから」
息子にたかる義両親の末路
結局、手持ちのお金がなく、飲食代を支払えなかった義家族。警察がやってきて、事情を聞かれることになりました。
実はこの寿司屋、夫の知り合いが営む店で、事前に義家族への対応を相談していたそう。普段は温厚な夫ですが、あまりにも身勝手な義家族に対し、さすがに我慢の限界だったようです。家族に甘いだけのお人好しだと思っていた夫の“本気”を目の当たりにし、私は惚れ直しました。
ただ、どうして義家族が私たちと同じ日に、同じ店に現れたのか――。夫は一切予定を漏らしていなかったはず。それでも偶然を装って姿を現したということは、私たちの行動を何らかの方法で把握していたに違いありません。
不審に思い調べてみると、なんと夫のスマホの位置情報が、義妹の端末と共有されていたことが判明。どうやら以前、義妹が「もしものときのためにファミリー共有設定をしておこう」と言って夫のスマホを操作し、勝手に位置情報の共有設定をオンにしていたようなのです。
そこまでして夫にまとわりつき、お金を無心していた義両親と義妹。この一件を機に、自立に目を向けてくれたら……と願わずにいられません。
大人として、自分のことは自分で責任を持つ。義家族にも、そんな当たり前の感覚を、今こそ身につけてほしいものです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。