クセの強い隣人に戸惑い…
ある日、隣の家に小さな子どもがいる家族が引っ越してきたことに気づきました。夫はちょうど長期出張中で、私は娘と義母との日々を過ごしていたのですが、そんな中、玄関先で隣の奥さんに声をかけられました。
「はじめしてぇ〜! 私ぃ、隣に引っ越してきた◯◯って言いま~す♡」
言葉の調子に少し面食らいながらも、あいさつ程度で済むかと思っていたのですが……。
「ところで、旦那さんって今朝グレーのスーツで出かけてた高身長の方ですか? かっこいいですねぇ〜。うちの旦那とは大違い。私、ああいう人と結婚したかった〜♡」
突然そんなことを言われ、内心かなり驚きました。冗談にしても距離感が近すぎる……と感じたのが正直なところです。
夫にまで接触してきて!?
後日、帰宅した夫から「隣の人に連絡先を渡された」と聞きました。家の前でたまたま会ったとき、「もう奥さんとは連絡先を交換したし、奥さんの了承も得てるから」と言われて無理やりLINEを交換させられたとのこと。
私は連絡先を交換しておらず、夫との連絡先交換を了承した覚えもないので、勝手なことを言われていたことに驚きました。
その後も、隣の奥さんは夫が帰宅する時間帯を見計らって外に出ていたり、「ちょっと相談があるんですけど〜」と夫にLINEして個別に接触しようとしたり、何かと二人きりになろうとする言動が見られました。
ある日ついには、「私、旦那さんのこと本気で気に入っちゃって……そろそろ本気出そうかな♡」とまで言ってきたのです。
毅然と対応してくれた義母
その様子を偶然聞いていたのが、義母でした。
普段は穏やかな義母ですが、筋の通らないことが嫌いな人です。私は家に戻ってから、これまでのやりとりや夫への接触についてもすべて打ち明けました。
数日後、義母と娘と私の3人で買い物に出かけたときのこと。偶然、隣の奥さんと道端で会いました。義母は少し間をおいてから、穏やかな口調ながらもこう言いました。
「あなたが“うちの嫁になる”なんて話してた人? それだけ度胸があるなら、うちの暮らし、ちゃんとできるかしらね?」
そう言って、わが家の日々の生活について淡々と語り始めたのです。
「毎朝3時に起きて雑巾がけ、庭の草取りに家庭菜園の手入れ。そこから一汁三菜の朝ごはんと、野菜中心の健康的なお弁当作り。朝食後は太極拳にラジオ体操……」
もちろん、すべてが本当というわけではなく、多少盛った部分もありましたが、義母は真顔で話していました。
隣の奥さんは、聞いているうちに顔を引きつらせていき、「えっ……そんなのムリ! やめます!」と、その場から離れていきました。
迷惑な隣人が引っ越していったあとで
その後まもなく、隣の家族は引っ越していきました。義母の“口撃”が決定打になったのかはわかりませんが、私たち家族の生活はまた静かな日常に戻りました。
ちなみに、義母が話したルーティンの一部は、実は私自身が趣味で続けていることでもあります。家庭菜園や朝の掃除、料理など、決して強制されているわけではなく、自分なりに楽しんでいることです。
どんなにタイプの相手でも、家庭のある人に無理やり関わろうとするのは、やはり違うと思います。
今ある家族との暮らしを大切に、これからも一日一日を丁寧に過ごしていきたいと、改めて感じた出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。