パニ子は29歳の兼業主婦。同い年で大手企業に勤める夫のマサトシと、3歳の娘・パニ美と暮らしています。パニ子の元気の源は、春から保育園に入園した娘の成長。元気に育つ娘の姿に目を細めながら、仕事に家庭に頑張っています。しかし最近、転園してきた保護者にちょっと困っていて……。
人のものをほしがるママ友
このところ保育園を騒がせているのは、シングルマザーのユウミ。父親に溺愛されていて、ブランド品を買ってもらってはみんなに見せびらかしているのです。
しかも「あなたには買えないでしょ〜」「そもそも似合わないものね!」と人を見下すような言動の数々に、パニ子はうんざりしています。
そのくせ、ユウミは人のものもほしがるという厄介な性格。
あるときはパニ美のワンピースに目をつけて、クレクレ攻撃がスタート。追いかけてくるユウミ親子を振り切ってなんとか帰宅しましたが、その後どっと疲れが出たことは言うまでもありません。
ターゲットは夫!? ママ友のクレクレはノンストップ!
ユウミのクレクレはとどまることを知らず、ついにはマサトシまでもターゲットに! 超がつくほどイケメンなマサトシをひと目見た途端「ねぇ、旦那ちょうだい」と、ユウミの目がハートになったのです。
非常識極まりないユウミの発言に、パニ子は開いた口がふさがりませんでした。
それからというもの、ユウミはパニ子が住んでいるマンションの回りをウロウロするようになりました。マンションの住民にあれこれマサトシのことを聞き回ったり、待ち伏せしたりと、迷惑千万!
「私のほうが絶対にお似合いよね♪」とユウミは略奪する気満々です。
「……あなた、どうなっても知らないからね? 」
パニ子はつぶやきました。
罠にかかった!ww
その数週間後。
パニ子が保育園へお迎えに行くと、ユウミがパニ子を待ち伏せていました。「あなたの旦那もらったから♡」 そう言って、マサトシとのラブラブなツーショット写真を見せつけます。
涙を浮かべるパニ子を見たユウミはますます勢いづいて、追い打ちをかけるように略奪までの道のりを話し始めたのです。
どうやらユウミは、マサトシが電話で話していた内容を盗み聞きして勤務先を見つけ出したよう。会社で待ち伏せをして、マサトシと出会ったのだと言います。ひと通り話し終えたユウミは、満足げに立ち去っていきました。
その後、パニ子たちの離婚が成立。マサトシからは慰謝料と養育費を、ユウミからも慰謝料をもらいました。この話題は保育園でももちきり! ユウミは会う人会う人に略奪愛の自慢話をして、保護者も保育士もドン引きしていたようです。
そう、すべては計画通りに!
ほとぼりも冷めたある日、1本の電話がかかってきます。
「ちょっと、なんなのよ! アンタの元旦那ぁぁぁ!? 」
激怒するユウミ。それもそのはず、マサトシは多額の借金を抱えていたのです。ボンボンだったマサトシはお金に無頓着で、欲しいものは我慢できずになんでも買ってしまうのです。
隠れて借金をしていると気づいたときから、パニ子は離婚を計画していました。そこに現れたユウミはまさに渡りに船! 偶然2人が出会うように仕向けていたのはパニ子の仕業でした。
喉から手が出るほどお金が欲しいマサトシが、父親に溺愛されてたくさんのブランドものに身を包むユウミをみすみす見逃すわけがありません。パニ子が睨んだ通り、マサトシはユウミに飛びついて関係を持ったのでした。
あれもこれもすべてパニ子の計画通り! マサトシとユウミ、それぞれから慰謝料をとることに成功し、無事離婚できたパニ子の作戦勝ちと言えますね。
隣の芝生は青いというように、人のものはよく見えるもの。しかし、手にした瞬間にこれまで見えなかったものが見え、幻滅することもあるはずです。人のものを羨んでばかりでは、冷静な判断ができなくなるのですね。