「いくつになっても仲良しでいられるはず……」なんの疑いもなくそう思っていたパニ子と夫・ナオキ。パニ子の両親や両親が営む定食屋も大切にしてくれるナオキは、理想の旦那様そのものでした。しかし2人の運命は、パニ子の姉・ノゾミが東京から帰ってきたことで大きく変わったのです。
迷惑な姉が帰ってきた
ノゾミは自由奔放のわがまま娘。それでもとびきり美人なので、小さいころからチヤホヤされて育ちました。周りが甘やかしたせいで大人になっても性格は変わらず、パニ子のことを見下したり、傷つけたりとひどい振る舞いばかり……。
働くことが大きらいなノゾミは、東京でも男性に貢いでもらって生活をしていたよう。貢いでくれる人がついにいなくなったのか、地元に帰ってきたのです。
夫をノゾミに会わせるのは気が進みませんでしたが、地元に引っ越してきた以上はしょうがないと、夫を連れて挨拶に行くことにしました。
案の定ノゾミは「とっても素敵な人じゃないの♡ パニ子って昔からモテなかったのに、よくこんな素敵な旦那さんつかまえられたねw」と失礼な発言ばかり。そんなノゾミを見て引いてしまったのか、それ以来ナオキはパニ子の実家に足が向かなくなり、パニ子は安心していたのですが……。
夫が突然消えた!? 姉と駆け落ち…
ある日パニ子が仕事を終えてスマホを見ると、母からのメールが飛び込んできました。「今すぐ実家に来て!!」と緊迫した様子。急いで実家に向かうと、うなだれている両親の姿がありました。「気をしっかり持ってね……」そう言われて渡された封筒には、ナオキからの手紙と離婚届が入っていました。
同封されていた手紙にはナオキの字で
『パニ子がノゾミにした仕打ちは絶対に許さない。俺はノゾミを守る。もう誰もノゾミを傷つけさせない!離婚届は出しておいてくれ』と書かれています。
どうやらノゾミはパニ子が悪者になるよう、あることないことナオキに吹き込んだよう。店のお金を持ち出して、ナオキと駆け落ちしたのでした。
突然夫が姿を消した事実にはショックを受けましたが、ノゾミからの仕打ちには慣れています。諦めの境地に立っているパニ子は、ナオキを探すことはせず、黙って離婚届を提出しました。
妹の夫を姉が略奪したことや店のお金すべてを持ち出されたことでショックを受けた両親は、すっかり元気をなくしてしまったので、パニ子は実家に移り住み、両親を励ましながら一緒に生活を始めることに決めました。
帰ってきた姉「見栄張ってるだけでしょ〜?」
数年度、再び実家を訪ねてきたノゾミとナオキは、開口一番「パニ子ったら実家に住んでんだぁ~子ども部屋おばさんじゃない」とパニ子をバカにしはじめました。ナオキも「俺のことを引きずって再婚もできないのか! 定食屋のおばさんになったなんて惨めだなw」と後に続けます。
話を聞くと、ノゾミは実家の定食屋を継ごうと戻ってきたよう。大方、仕事がなくなって戻ってきたに違いありません。「どうせ再婚は絶望的だからいいわよね?」と言い張ります。
「私、すでに再婚してるけど」とパニ子が言っても、
「そんなの嘘! 見栄張ってるだけでしょ〜」「そうだよ! 結婚したのならなんで実家の店にいるんだよ」と信じようとしません。
ちょうどそこに、パニ子の再婚相手のシンゴが帰ってきました。
「戻ってきたから結婚してあげる」
「例の駆け落ちした姉と元夫よ」そういってシンゴを紹介したパニ子に、「ああ…例の……」とシンゴが続けます。
ノゾミが駆け落ちしたとき、店のお金を持ち出された両親は店を閉めることを考えていました。しかしかつて店の常連だったシンゴがその噂を聞きつけて、店の経営を立て直したのです。当時学生だったシンゴは、今ややり手の経営者! 定食屋建て直しなんて朝飯前で、今や両親の店はフランチャイズ展開をするほどに大きく成長したのです。
ノゾミにその話をすると、「思い出した!! あのイケメンくん!!」と、当時のことを思い出したよう。「あんなに通ってくれたのは私目当てよね!? 私がいないからパニ子で妥協したのね! でも大丈夫! 私ここに戻ってきたから結婚してあげる」と相変わらずです。
美人姉の哀れな末路
それを聞いたナオキは激怒!
「あなたよりお金持ちでイケメンなんだもん、しょうがないじゃない! あなたはバイトもクビになるくらい使えない男だし、劣化も著しいからもういらない」
「それを言うならお前だって劣化ヤバいだろう!」
と低レベルな喧嘩を繰り広げます。
もちろんそんな姉をシンゴが受け入れるわけもなく、営業妨害な2人を店から追い出しました。住むところさえなくなって帰ってきた2人は、路頭に迷うしかありません。
一度、恥も外聞も捨てたノゾミが「パートで雇ってほしい」とやってきましたが、イケメンだけにニコニコしていたのぞみの接客態度を知っていたシンゴは「お客様によって態度を変えるような従業員はうちにいらない!」と一蹴。ノゾミの接客態度の悪さは地元でも知られていたので、きっと仕事を見つけるのは難しいでしょう。
当時は美人だったノゾミでしたが、今やチヤホヤしてくれる人はいないはず。どんなに若いときに美人だったとしても、歳をとるとともに生き様が顔に出ると言います。
人を貶めてばかりの姉と、つらいことがあっても頑張ってきた妹、歳を経て大きな差がついたようですね。穏やかににこやかに、歳を重ねていきたいと思わされるお話でした。