パニ子は10歳年上のワタルと半年前に結婚した新婚さん。パニ子は世間でいう高給取りですが、その分かなりの激務をこなしています。結婚当初は仕事と家事を両立できるよう頑張っていましたが、あえなく断念。見かねたワタルが専業主夫になることを決めました。仕事に専念できるのはワタルのおかげと感謝していたパニ子でしたが、突然とんでもない提案をされてしまいました。
突然決まった義両親との同居…
「ウチの両親と一緒に暮らさない?」
予想もしていなかった提案にパニ子はびっくり! 改めて話を聞くと、義両親は家が古くなって引っ越しを考えていたよう。そこでワタルは、同居すればワタルの家事負担が軽くなって、両親の家賃も浮くので一石二鳥だと考えたのです。しかもワタルは、パニ子に何の相談もなしにOKの返事までしていました。
実はパニ子は義両親が苦手。パニ子が高給取りだと知って以来、あれクレこれクレと、しつこく迫ってくるようになりました。
同居は絶対に断りたいところ……。「今急いで同居する必要はない」「新婚だから2人で静かに暮らしたい」など、同居に消極的な理由を並べてみたパニ子ですが「両親を見捨てろって?!」と怒りをあらわにするワタルに根負けし、パニ子は渋々同居を了承することにしました。
引っ越し先は大豪邸
ついに迎えた引っ越しの日、荷物を積んだトラックが停まったのは、バカでかい敷地に建つ大豪邸。忙しかったこともあり、家探しをワタルに任せきりにしていたことをパニ子は深く後悔しました。
呆然としていると、ちょうど義両親も到着。
「まさか、パニ子さんにこんな素敵な家を用意して貰えるとはなぁ〜」「憧れの洋館! これで私もセレブ暮らしね」
と、信じられないひと言を耳にしました。
なんとワタルと義両親は、パニ子の給料をあてにして大豪邸を借りていたのです。
分不相応の家賃を彼らのために払うなんて、まっぴらごめんです。パニ子は、とある計画を実行することにしました。
私が好きな証明に、離婚届にサインして
しばらくして、ついにパニ子の計画を実行するときがやってきました。
義両親と家事を分担するようになったワタルは、余った時間を使って不倫していることも把握済みです。その日も、義両親に家事を任せて不倫相手に会いに行っていたワタルは、パニ子よりも先に帰って、さも1日中家にいたかのように振る舞おうと急いで家のドアを開けました。
そこにいたのはワタルの予想に反して早く仕事から帰っていたパニ子の姿。ワタルは慌てています。
パニ子はにっこり笑ってワタルに離婚届を手渡し「絶対にないとは思うけど、あなたが浮気しないか心配だから、私が好きなことを証明するためにこれを書いておいて」と、やさしく言いました。
最初はサインを拒んでいたワタルでしたが「浮気をしない自信があるなら書けるはずだ」と強く言われ、渋々サインをします。これですべて予定通りです。サインを書き終えると同時に、パニ子はニヤリと微笑み不倫の証拠をワタルに突きつけました。
欲に目がくらんだ結果……
みるみるうちに顔が青ざめていくワタルを残し、パニ子はちょうど転勤話のあったニューヨークへ旅立ちました。
ワタルと義両親の念願だった家は、もちろんそのまま。ということは、今後莫大な家賃の請求がワタルに突きつけられるはずです。
しかしワタルにあんな大金払えるわけがありません。人のお金をあてにして豪邸を建てた結果、ワタルと義両親はすべてを失ってしまいました。
欲に目がくらんだことで引き起こした残念な結末……。せめて身の程にあった家を建てていたなら、結果は変わっていたかもしれませんね。