夏休みをとって実家に帰省中のパニ子。実家には両親と2つ上の姉マチコが暮らしています。マチコは信じられないほどの計算高さで……。
彼との出会い
帰省中、パニ子はマチコから友人で医者のユウキを紹介されました。ユウキは以前からパニ子のことが気になっていたそう。「連絡がほしい」と電話番号の書かれたメモを渡されました。
パニ子は断ろうとしますが、高収入の彼と結婚を前提に付き合っているマチコに「私みたいにある程度打算的に生きないと損するよ? 」と諭されてしまいます。
パニ子を動かしたのは「このチャンスを逃したら一生結婚できないかもよ!? 」 というマチコのひと声。渋々ユウキに連絡をし、会う約束をしたのでした。
結果的に、ユウキに連絡をしたのは大正解! パニ子はだんだんと彼に惹かれるようになりました。数カ月後にお付き合いを始め、1年後、ユウキからプロポーズを受けたのです。
結婚を迷う理由
プロポーズを受けたのは嬉しかったものの、医者として忙しく働くユウキとは頻繁に会えておらず、いまだに知らないことも多いため、返事に迷うパニ子。病院経営に失敗した過去があり、多額の借金が残っていることも気がかりです。
踏ん切りがつかないパニ子の背中を押したのは、マチコの説得。「パニ子の貯金で借金さえなんとかすれば、医者としての未来は安泰だ」というひと事で、パニ子はユウキを支えたいと思うようになり、婚約を決めました。
しかし、お試しの同居をスタートさせてしばらく経ったある日、とんでもないことが判明したのです。
婚約者のカバンから出てきたものは…
急患ばかりで忙しかったと言って、ユウキはソファで寝落ちしてしまいました。その側には口が開いた状態のカバンがあり、中には婚姻届がちらり。翌日に控えた入籍のために、役所から取ってきてくれたのだと思ったパニ子は、用紙を手に取りました。
「え……」固まるパニ子。 そこには、なんとユウキとマチコの名前が書かれていました。
ちょうどそのときユウキの携帯が振動し、マチコからのメッセージを受信。やり取りが目に入ったパニ子は驚愕しました。
さぁ、お祝いを受け取って!
その日の夕方、役所にやって来たユウキとマチコ。パニ子が近くで身を潜め、話を聞いていることには気がつきません。籍を入れた2人は、これからの生活を思い描きながらおしゃべりに花を咲かせていました。
「パニ子が借金を返済してくれた」と報告するユウキ。これで万事解決と思ったそのとき、パニ子が目の前に現れ、2人はうろたえています。
「私に借金を完済させたるためにユウキを紹介したのね!」
マチコは最初からパニ子に借金を肩代わりさせ、その後2人で行方をくらます計画を立てていたのでした。
「はい、おめでとう!」とパニ子はにっこり。2人それぞれに封筒を手渡しました。パニ子からの結婚祝い、それは……慰謝料の請求書! 2人の関係を知ったパニ子が探偵に頼んで手に入れた不貞の証拠写真も記念に同封しておきました。
ユウキのことを信じきれなかったパニ子は借金の返済を躊躇していたので、借金はそのままです。ユウキとマチコは慰謝料でさらに膨らんだ借金を、コツコツ返すほかないのでした。
損得のためには家族さえも裏切る姉……。それゆえ、家族を失う結果につながりました。
人と人の間にあるのは損得だけではありません。損得ばかり考えていると、いざというとき、誰も助けてくれない淋しい人生になってしまうのではないでしょうか。