帰省したがらない夫
結婚したばかりのころの話です。夫にお正月はどう過ごすか相談すると夫からは「帰省はしないで2人でどこかへ行こう」と言われました。私は義実家に帰省するとばかり思っていたので拍子抜け。しかしその後、義母から私に「お正月はどうするの? もちろん泊まりにくるよね?」と連絡が。
義母いわく、夫に連絡をしたけれど返事がないため私に連絡をしたのだとか。その日の夜、夫に「どうしてお義母さんに返信しないの?」と聞くと「俺、泊まりがけで実家に帰るのは気が重いんだよ……」と言います。
帰省したがらないことが不思議で理由を聞くと、「うーん……なんとなく」とはっきりしない返事しか返ってきません。私は、嫁としての義務感もあり「お義母さんが誘ってくれているし、今年は行こうよ」と夫に伝え、その年のお正月は義実家で過ごすことにしました。
完璧な義母を前に…
義実家に到着すると、料理や部屋の掃除などすべての家事を完璧に終えていた義母が出迎えてくれました。私は少しでも手伝おうとしましたが「座っていなさい」と言われてしまいます。
帰省中、義母は「寒いからこれ着なさい」「さっき食べたばっかりで私はおなかが空いてないけど、若いあなたたちはおなか空いたでしょ」「初詣はこの神社に行くわよ」と、かなり世話を焼いてくれました。
あまりに完璧すぎる義母を目の前にすると、義父や夫はなにも言えなくなり、義母の言う通りに動くしかないようです。
一度食事をすすめられたときに、「今はおなかがいっぱいなので、食べられません」と正直に断ったときがあったのですが、少し表情が曇った義母に、ため息混じりで「全然食べないわね。はぁ」と言われてしまいました。このときの様子から、少しでも義母に反発しようものなら機嫌を損ねてしまうと感じ、私もなにも言えなくなってしまいました。
夫が義母を避けていた理由
ほかにも、お風呂を借りたときに夫の脱いだ服を回収し忘れると、翌日に義母が洗濯とアイロンをしっかりと済ませたものを私に戻してくることもありました。なんでも先回りして完璧にやってくれる義母は主婦の鑑のような人だと思いましたが、一緒にいると想像以上に疲れてしまいました。
夫が帰省したがらないのは、義母にまったく反論できないこと、完璧を求められているようで疲れてしまうことが原因だったようです。帰り道、「だから実家に帰りたくなかったんだよ……」とボソッと言った夫の姿は忘れられません。
その後は、なるべく義母との接触を避けたいと思っている夫の意見を尊重し、義実家とはほどよい距離感でのお付き合いを続けています。
過干渉気味で完璧主義の義母。息子夫婦にはなんでもしてあげたい、という気持ちからの言動だったと思うのですが、四六時中一緒にいると気が休まりませんでした。今は、義両親と会うときは宿泊にせず短時間食事をする程度にしています。
著者/高木翔子
イラスト/おんたま
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