パニ子は夫・ソウタにお弁当を作るのが毎日の日課です。結婚前は高級レストランのシェフだったこともあり料理が大好きなパニ子。「パニ子の弁当のおかげで頑張れる」と一粒残らず完食してくれるので、お弁当作りが生き甲斐になっていたのですが、ソウタの言葉にはとんでもない裏があったのです。
お弁当食べてるよね?
ソウタに違和感を覚えたのは、もっと喜んでもらえるように「どのおかずが美味しかった?」と聞いたときのことでした。ソウタはその日のお弁当に入れていない、ミートボールや卵焼きと答えます。「そんなおかず入れていない」と指摘すると「勘違いした」と笑うのでした。
パニ子はモヤっとしたものの、次の日から、ちゃんとお弁当に入れたおかずを答えてくれたので、さほど気にしませんでした。
「冗談抜きで、奥さんの弁当がマズくて〜」
その1カ月後、パニ子はソウタの上司が開催する食事会に夫婦で参加していました。そこで紹介されたのが後輩のテルキです。テルキはすでにたくさんお酒を飲んだようでベロベロ。からみ酒は厄介でしたが、ソウタのためと思ってパニ子はにこやかに聞いていました。
しかしテルキはだんだんとエスカレート。「毎日奥さんの愚痴を聞かされるの大変なんで勘弁してください」「弁当がマズいっていつも言ってましたよ」と、話題はパニ子のことへ。いつもおいしいといって完食していたはずの弁当がマズいというのは聞き捨てなりません。
それでも黙って話を聞いていると、ずいぶん前からパニ子が作った弁当を食べていたのはテルキだということが発覚。ソウタは焦りながら「食事代を節約している後輩にあげた」と取り繕いました。しかしおいしかったと空になった弁当箱を出していたのは、嘘をついていたことにほかなりません。
そもそも、ソウタは昼ごはんに何を食べていたのでしょうか。
愛妻弁当の行方
そのとき、ひとりの男性がパニ子たちに向かって歩いてきます。心なしか怒っている様子。男性はソウタの目の前に立つと、「ユウミの夫のシュウジです」と名乗りました。ソウタは真っ青です。
「妻と不倫していますよね?」
シュウジの横に立っている女性・ユウミも震え上がっています。それを見てパニ子はすべてを悟りました。ソウタはユウミと社内不倫をしていて、パニ子のお弁当を食べずにユウミが作ったお弁当を食べていたのでした。
宴もたけなわだというのに、周りの出席者たちも唖然としながら見つめています。上司や同僚を前に不倫を暴露された2人。ソウタとユウミの上司は「社内不倫を見逃すわけにはいかない」と言い、しかるべき処分を約束してくれました。
許せないのは夫だけではない
さっさとソウタとの離婚を決めたパニ子でしたが、もうひとつ、どうしても許せないことがありました。それはソウタが不倫相手の弁当を食べていたことを知りながら、黙ってパニ子の弁当を食べていたテルキのこと。パニ子の弁当を「マズイ」と言ったことも許せません。
テルキは2人がイチャイチャしている現場をたまたま目撃してしまい、口止め料として毎日弁当をもらっていたそう。テルキは一気に酔いが覚めたようで、申し訳なさそうにパニ子に謝りました。
愛妻弁当を作る妻を横目で見ながら、平気で後輩に横流ししていた夫。妻の愛情をむげにした罪は軽くはありません。栄養バランスや彩り、おかずのバリエーションや傷まない工夫など、お弁当を作るのは簡単なことではありません。その価値をもっと理解する必要があったようですね。