32歳のパニ子は同い年の夫・ツキヒコと4歳になる娘・パニ美との3人暮らし。パニ子は服飾の専門学校を卒業しており、出産後はネットショップで洋服を販売しています。幼稚園のママたちとも仲が良く、幸せな日々を送っていましたが、あるママとの出会いで日常が一変します……。
マウントママに目を付けられる
ある日のこと。幼稚園でできたママ友と、カフェでランチを楽しんでいたパニ子。そこに、口を開けば自慢話というマウントママのアスミがいたことが事の始まりでした。
パニ子たちに気づいたアスミは、「みなさん、いつもこちらで集まってらっしゃるの〜?私はここで安物のコーヒーを飲んだら、高級フランス料理のランチを食べにいくの」と自慢話が始まりました。
うちの主人はIT企業に勤めていて〜と始まり、「このお店で一番高いコーヒーをください」と騒いでいます。パニ子たちはいつもの事とばかりに、アスミの自慢話をスルー。パニ子は、自分の洋服を売っているネットショップの話を他のママとしていました。
すると、「パニ子さんって洋服作ってるの?パニ子さんが着ていらっしゃるのは安物のシャツとジーパンだけど、そんな人がセンスのいい洋服を作れるのかしら〜」と笑います。あまりにも失礼な物言いにパニ子が唖然としていると、周りのママ友たちが「そんなことない!」「かわいい洋服ばっかりだよ」と味方をしてくれました。
それが気に入らなかったのか、アスミはパニ子のことをギロリ。そして、パニ子が注文したペペロンチーノを見て、「そんな安物のメニューを頼んで。恥ずかしー」と難癖を付けてきたのです。アスミのせいで楽しかったママ友ランチが台無し。ご飯を食べた後、早々に退散することになりました。
マウントママが家にやってきて…
お店を出たパニ子のところに、アスミがやってきました。どうやら、パニ子がひとりになるタイミングを待っていたようです。アスミはすごい剣幕で、
「なんなのあなた?貧乏くさい格好してるくせに、ママたちにチヤホヤされて!大きな顔して、ママたちの輪の中心にいつまでも居られると思わないでよ!?」と叫び、立ち去って行きました。
そしてこの日以降、アスミがパニ子に付きまとってくるように。ママ友とのランチ会など、どこから情報を仕入れてくるのか分かりませんが、約束の店にアスミが訪れてマウントをとってきます。ついには、パニ子の家までやってきてマウントを取るようになりました。どうやら、パニ子を尾行していたようです。
パニ子の家を見たアスミは、「こんな小さなボロ屋によく住めるわね?ちなみにうちは、幼稚園の近くの高級住宅街にあるのよ〜。今建設中のすっごいお屋敷がある住宅街」と話し、笑いながら帰って行きました。いつかアスミをギャフンと言わせたいと思っていたパニ子。意外にもその機会は早く訪れることにーー。
高級住宅街にある建設中の一軒家が…
その日はパニ子の家にたくさんの来客がありました。「みなさん、今日はありがとうございました」と言ってパニ子が玄関から出ると、アスミが立っていたのです。
ここはアスミも住んでいる幼稚園の近くの高級住宅街。数日前まで建設中だった大豪邸はパニ子の家だったのです!
ここがパニ子の家だと信じられないアスミは、なぜか怒ってパニ子につかみかかろうとします。その時、夫のツキヒコが慌てて間に入ってきました。ツキヒコの姿を見て、アスミの目はハートに。「初めまして。パニ子の夫のツキヒコと申します」と言うと、アスミは呆然……。「このイケメンはパニ子さんの夫?そしてここがパニ子さんの家?」
先日までパニ子が住んでいた家は仮住まいでした。パニ子が、「アスミさんの家は、あの角っこの家?小物感半端ないわね!」とこれまで言われてきたお返しをすると、アスミの顔は真っ赤に。そして再び玄関のドアが開き、今度はTVにも出ている芸能人がぞろぞろと外へ出てきました。アスミがびっくりしていると、ツキヒコが「私がパニコレ商事の専務で、芸能事務所とも長年付き合いがあるので……」と誰もが知る社名を出しました。「今日は我が家の新築パーティにお招きし、妻が作った洋服も見てもらっていたんです。なかなか人気があるんですよ」と続けます。
そのとき、遠くから「おーいっ!アスミー!」という声が。ぽっちゃり体型でボサボサ頭の男性は、「子どもをひとり公園に置き去りにするなって、あれほど言っただろ!泣いて帰ってきたんだぞ!」とアスミに話します。
それに対してアスミは、「ちょっと!お、お黙りっ!!し、使用人の分際で……」と返しました。パニ子が使用人と言われた男性に、「アスミさんの夫は人気俳優のヒカルさんにそっくりなんですってね。しかもIT企業にお勤めしているとか……すごいですわね。使用人さん」と話しかけると、使用人呼ばわりされたアスミの夫は激怒。「お前は俺をバカにしてるのか!俺はIT企業で働いてもないし、使用人でもない!」とアスミに向かって怒鳴り、「ごめんなさーい」と謝る声が住宅街にこだましました。
その後、間もなくしてアスミは夫と離婚。原因はアスミの育児と家事の放棄、そしてブランド物を買い占めていた浪費でした。親権は夫がとり、アスミはいま何をしているか分からないそうです。ようやく、パニ子に平穏な日々が戻りました。
アスミは幼稚園ママのボス的な存在になりたかったのかもしれませんが、マウントをとってくる人とは仲良くなれませんよね。いつも自慢話では、最終的に周りの人も離れていきますし……。子どもを通して知り合ったママ友も対等な関係でお付き合いしたいですよね。