しっかりあいさつしたい彼
結婚がほぼ決まり、私の両親と私、彼の4人で一緒に食事をすることになりました。場所は私の両親が予約したレストランです。漫画やドラマに出てくるような「お父さん、娘さんをください!」といった『ザ・定番の決めゼリフ』に憧れがあった彼はかなり気合が入っていて、私に「手土産を持っていくから両親の好みを聞いておいてほしい」と言ってきました。
そんな彼の様子をうれしく思いながら、私は両親に「彼はスーツでビシッとキメていくらしい」と伝えた上で、どんなお菓子が好きなのか聞きました。すると、母は「あなたが決めた人なら反対しないからそこまで気合を入れなくても大丈夫よ。堅苦しいのはお互いに疲れてしまうから、あいさつと思わずにカジュアルな感じできてね。手土産もいらないよ」と言うのです!
両親の気持ちも彼の気持ちもわかる…
「これから家族になるのだから気負わずにきてほしい」と言う私の両親に対し、「しっかり結婚のあいさつをしたい!」と意気込む彼。どちらの気持ちもわかるので、私はどうすればいいのか悩んでしまいました。
彼にそれとなく両親の言葉を伝えましたが、彼は「カジュアルなんて失礼だからスーツを着てしっかりあいさつをしなきゃ」と言うのです。私自身も両親の言う「カジュアル」がどの程度なのかわからず、どんな服装で行けばいいんだろう?彼は私の両親にどう接するのが正解なんだろう?と、食事会が一気に不安になってきてしまいました。
「娘さんをください」より「よろしくお願いします!」
そんな中で迎えた両親との食事会当日。結局、私は花柄のきれいめなワンピースを選び、彼はスーツでばっちりキメて、無難な手土産を片手に食事会に参加しました。彼は当初の予定通りにスーツを着ていたので、両親の服装が思いのほかラフだったらどうしよう……と不安でしたが、2人ともフォーマル寄りの格好だったので、ひと安心。
食事も進んだころ、いよいよ私たちの結婚についての話題になりました。すると、両親とも堅苦しいのは苦手だと事前に話したからか、彼は「娘さんをください!」ではなく「結婚します。よろしくお願いします」といった簡単なあいさつをしてくれたのです。食事中の会話で私の両親は彼のことを気に入ってくれたようで、その後、円満に食事会を終えることができました。
最初は、一生に一度だからと気合を入れて「娘さんをください!」と言うつもりでいた彼ですが、最終的には私の両親に合わせて言葉を選んでくれました。特に父は照れ屋なので、かしこまって「娘さんをください!」なんて言われていたら、きっと反応に困っていたことでしょう。彼の選んだ少しカジュアルな「よろしくお願いします」というあいさつは、ちょうど良い言葉だったと思います。
「カジュアルな感じできてほしい」と言う両親と「娘さんをください!」ときっちりあいさつしたいと主張する彼。どちらの希望を優先させるべきか、そのときの私はとても悩みました。結果的に、私の両親の希望を彼に伝えてしまったので、彼にとっては理想の結婚あいさつにはならなかったかもしれませんが、場の雰囲気に合ったあいさつができてよかったと思います。
著者/やん子
イラスト/もふたむ
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