パニ子は30歳の専業主婦。夫の良二とは結婚したばかりで毎日穏やかに暮らしていたのですが、最近パニ子が作った料理を食べてくれないのです。お弁当はもちろん、朝食や夕食も残してしまうほど。
調理師免許を持ち、料理に自信のあるパニ子は自分が料理下手なのかどうか悩んでいます。そんなある日、義実家に招かれた2人は義母の料理を食べることになりました。
ママの料理に夢中の夫
テーブルには美味しそうな中華料理がずらり。良二は「うわぁ〜美味そう! 俺、ママの作る中華、大好きなんだよねぇ♪」と言いました。「ママ」と呼んだことにパニ子は驚きを隠せません。
パニ子は義母が作った麻婆豆腐を一口食べてみると、叫び声が出そうになるほど塩辛い! 義父を見て見ると、同じく塩辛く感じているからか、ほとんど残しています。しかし隣で良二は「や〜美味い! これこそが、お袋の味だよなー!」と大絶賛。さらに「パニ子もこれくらい美味い料理が作れたらいいのになぁ」と言ってきたのです。
夫が義母の前で妻の悪口ばかり
すると義母が「良二から聞いたけど、パニ子さんは料理が得意じゃないんですってね」と言うではありませんか。その言葉を聞いた良二は、「時間がかかってるだけで、料理は全然上手くないんだ。だからといって掃除、洗濯が得意ってわけでもないしな。とにかく、パニ子はメシマズ認定って感じだよ」とパニ子の否定ばかり。
家に帰っても良二の愚痴は止まらず、「料理なんて訓練したら上達するもんじゃないのかよ! 料理教室に通って料理が上達しなかったら、ママに料理習ってこい!」と、料理教室に行くよう迫りました。
義母との料理対決。果たして勝敗は!?
料理教室の先生はパニ子の料理技術を高く評価し、「パニ子さん、料理の基本は教える必要はないわね」と言われるほど。試しに、義母から昨日持たされた料理の残りを先生に食べてもらうと、「何なの、この味!」と絶叫して吐き出してしまいました。自分の料理の腕に自信を持ったパニ子は、義母にある提案をすることに。
料理教室での成果を生かし、義母との料理対決を申し込んだのです。義母は自信満々! 挑戦を受け、義実家には義父や義父の友達も参加してくれました。料理が完成し、義父や友達はパニ子の料理を口にして感動。「う、う、うまい……ワシはこの数十年、こんなに美味い肉じゃがを食べたことなんてないぞ!」と言ってくれました。
一方、義母の料理を食べた義父や友達は、「うわ! 何だこれ! こんなの食べたら寿命が縮まっちゃう!」と大騒ぎ。
義母と夫が2人の世界へ
そんな様子を見た義母は、「私の味をわかってくれるのは、もはやこの世に良二だけね!」と言い、良二も「ママの味が世界一!」と絶賛。パニ子が恐るおそる義母に料理の味付けを聞いてみると、市販のタレを分量の数倍多く使ったうえ、独自の調味料を大量に追加していたのです。
良二は「俺は一生ママの料理を食べて生きていく。もうパニ子とはやっていけない。離婚だ、離婚!」と断言。これ以上ストレスをためたくないパニ子も、離婚を受け入れることに。
義両親が予想外の展開へ
そしてさらに、義父が義母に「俺ももう耐えられないよ。離婚してくれ。あんなにしょっぱい料理を毎日出されたんじゃ……自分の寿命を削ってまで一緒にいる価値のあるパートナーだとは思えないからな」と突然離婚を宣言。義父は長年義母の料理に耐えていましたが、我慢の限界に達したようでした。
その後、良二と義母は2人で暮らし始めるも、食生活が原因で体調を崩してしまったそう。良二は高血圧や糖尿病、義母も毎日体調不良に悩まされるように。働けなくなった2人は経済的に困窮し、貧しい暮らしを余儀なくされました。
一方、パニ子は職場に復帰し、より料理について学ぼうと料理教室にも通いはじめました。するとそこで元義父に遭遇! 元義父は、以前パニ子が作った料理の味が忘れられず、自分で健康に良い料理を作ろうと決心したそう。
人の体は食べたもので作られています。健康で長生きするためにも、おいしくて体にも良い料理を作りたいものですね。