やさしい義父母に安心するも…
同居している夫の両親は、私を本当の娘のようにかわいがってくれる、とてもやさしい人たちです。孫がほしい気持ちはあったようですが、何も言わず待っていてくれました。待望の妊娠を報告したときにはとても喜んでくれて、「孫に会うのが楽しみだ」と話してくれたのでした。
後日、私は無事女の子を出産。ところが赤ちゃんの状態も私の体調もやや思わしくなく、しばらく入院して様子を見ることになったのです。不安になる私を、義母は「大丈夫、大丈夫」と電話で勇気づけてくれました。
しかし出産してから少したって、ふと「そういえば、義父母はまだ面会に来ていないな」と気づいた私。
「あんなに孫の誕生を心待ちにしてくれていたのに、どうしたんだろう?」
自宅に電話をしても誰も出ないことに不安を覚えた私は、夫に義父母の様子を尋ねました。
けれども「元気にしている」との一点張りで、何も教えてくれません。隠し事があるように思いましたが、退院して落ち着いてからちゃんと話そうと思い、それ以上しつこくは聞きませんでした。
そして1カ月後、やっと退院できることになったのです。
義母と会話したら思わぬ展開に!?
退院の前日、私はお世話になった担当看護師さんにごあいさつしました。彼女も、義父母が見舞いにこないことを不思議に思っていたひとりでしした。
私が「電話もつながらないんです……」と不安な胸中を打ち明けると、彼女は自らのスマホを差し出し、「このスマホからかけてみたら出るかも」と提案してくれました。
「それって、私の番号は拒否されているってこと? まさか……」と心の中では半信半疑でしたが、試しにスマホを借りて自宅に電話をかけると、義母が電話に出たのです……。
義母は私からの電話だとわかり、驚いた様子でした。私が翌日ようやく退院できる旨を伝えると、義母は怒りに震えながら「なんで連絡してきたの。私たち、もう他人でしょ?」と言い出したのです。まるで話がかみ合いません。
「どういうことですか?」と尋ねると、義母から「息子と離婚したんでしょ? 私たちになんの相談もなく」と衝撃的な言葉が!
私はびっくり仰天し、すぐに「えっ!? 待ってください、お義母さん! 離婚なんてしていません! 一体何の話ですか!?」と叫びました。
しかし、電話口の義母も動揺しているのか、「もういいわ! あなたには本当にがっかりした!」と一方的に怒りをぶつけられ、電話は切れてしまいました。
何が起きているのかわかりませんでしたが、夫が私に何かを隠していることだけは確信しました。
看護師さんからまさかの目撃情報
スマホを握りしめたまま呆然とする私に、貸してくれた看護師さんが「あの……」と心配そうに声をかけてくれました。
そして、私が予想もしていなかった事実を教えてくれたのです。
彼女は数日前、人手不足の応援で、同じグループの別の病院へ行っていたそう。なんと、その病院の産婦人科で、夫が見知らぬの妊婦さんと親しげに歩いている姿を目撃したと言うのです。
そのときは「ご友人かな?」と思ったそうですが、今この状況で、私と夫が離婚したことになっているという状況が電話口から聞こえてきて、やはり違和感を覚えたとのこと。
夫は、私が入院している同じ病院に、別の女性(しかも妊婦)を連れてきていた……?
嫌な予感がした私は震える手で、もう一度スマホを借りて、自宅に電話をかけました。
「お義母さん、さっきはすみません。お願いです、信じてください。私は離婚していません。明日退院して自宅に戻るので、何が起きているのか事実確認させてください」
私が必死に事実を伝えると、義母は「私もさっきはキツく当たってしまってごめんなさい。息子の言うことを信じたかったんだけど、やっぱり急に離婚なんておかしいわよね。明日、しっかり話し合いましょう」と謝ってくれました。
スマホを貸してくれた看護師さんにお礼を伝え、「退院したら家族と話し合うことになりました」と説明し、私は不安な気持ちでいっぱいの中、病院での最後の夜を過ごしたのでした。
これは現実…?ウソみたいな裏切り行為
翌日私は退院。夫の迎えはなく、娘と一緒にタクシーで自宅へ向かいました。義父母は一瞬気まずそうにしたものの、孫を見て感激したようで、いつも通りやさしく私を迎え入れてくれました。
しかし自室から顔を出した夫は、私と娘の姿を見て、突如慌てだします。
「えっ、退院って今日だっけ!?」
もちろん退院日は事前に伝えていましたが、やはりすっかり忘れていたようです。
義母は夫に「どういうことなの? あなたからは『妻と離婚したから、もう帰ってこない』と聞かされて、私たちはとても残念に思っていたのよ? 説明しなさい」と冷ややかに尋ねました。
「そ、それは……」と言葉を詰まらせる夫に、私はハッキリと言いました。
「あなた、私が入院している間に、別の妊婦さんと一緒に産婦人科に行っていたわよね? お世話になった看護師さんが偶然見かけたんだって。どういうことか、全部説明してくれる?」
核心を突かれ観念したのか、すべてを白状し始めた夫。
要は夫の浮気が原因でこのような事態を生んだのですが、彼のしたことは常軌を逸していました。
私が入院したことを利用し、義父母には「妻が義父母との生活を嫌がって別れを切り出してきたため離婚した」と嘘をついていたのです。連絡がつかなかったのは、夫がこっそり自宅の電話に、私の番号を着信拒否設定をしていたからでした。
そして、身ごもっている“新しい婚約者”がおり、すでに家の近くにアパートを借りて住まわせていると白状したのです。
夫の計画では、義父母に嘘を信じ込ませたまま、退院した私を「離婚した元嫁」として家から追い出し、ほとぼりが冷めたころにその女性と再婚するつもりだったと……。すべて私が入院している間に進めていたのです。
しかも、私や自分の娘が入院しているときに、堂々と別の病院で不倫相手の妊婦健診に付き添っていたなんて、本当にどうかしています。義父母も息子のありえない行動を知って大激怒。
夫はこの期に及んでも「この際だから、みんなでどちらの赤ちゃんも育てていこう」などと意味不明なことを言い出し、義父から激しく叱責され、最終的には家から追い出されたのです。
私はシングルマザーに
結局、私は夫と離婚し、シングルザーになりました。ですが、今でも元義父母と同じ家に住んで子育てをしています。私の体調がしっかり回復してから、改めて今後の暮らしについて考えようという義父母の配慮から、いったんこの生活を続けることになりました。
もちろん、元夫と不倫相手には慰謝料を請求。元夫とは今も事務的なやりとりのために連絡をとっていますが、慰謝料や養育費の支払いやのために昼夜を問わず働きだした結果、不倫相手の女性と気持ちがすれちがうようになり、別れることになったそうです。
しかも、実はおなかの子どもは元夫の子ではなかったとか……。とんだ女性に引っかかってしまったものです。
私が入院中、ウソをつき続けた最低な元夫。しかし、義父母と私の仲がよかったおかげで、真実がわかってよかったです。結局のところ、元夫は両親・妻子・不倫相手とすべてを失う結果となりました。自らの行いを反省し、悔い改めてほしいと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。