面接前の出来事
面接のために訪問先へ電車で向かう途中で、真向かいから歩いてきた年老いた男性が、目の前でバタッと倒れてしまいました。男性は腰と膝を痛めたと話しましたが、「もう大丈夫だよ、ありがとね。うん、大丈夫、大丈夫」と、ゆっくりと歩きだしました。しかし、また立ち止まり、その場でうずくまってしまいます。タクシー乗り場まで歩けば、あとはタクシー捕まえて家に帰るから大丈夫と言う男性ですが、とても心配です。私は「なら私、タクシー乗り場まで支えます!」と、声をかけました。駅員さんと2人で肩を貸しながら一緒にタクシー乗り場に到着しました。
面接の奇妙な結末
しかし、私は男性を介助するのに気を取られて、特急の乗車時間が迫っているのを、すっかり忘れてしまっていたのです。改札口まで全力疾走したかいもなく、間に合いませんでした。私は事の次第を説明して面接の辞退を申し入れる電話をしました。「このたびの採用面接、辞退します」。ところが、なぜか「君、採用だよ」と言われました。遅刻確定、その上面接も受けていないのに、採用すると言われ、わけがわかりません。「こちらに来なさい」と面接官に言われ、私はそのまま面接先の企業に向かいました。
運命の出会い
私はまずは改めてお詫びしようと思い、面接室のドアをノックしました。「失礼します……」と、おそるおそる面接室に入ると、先ほど電話応対してくれた面接官と社長、2人の男性が私を待っていました。私はまずは謝罪しようと思い、「本当に申し訳ありませんでした」と、頭を下げて言いました。しかし社長は、「遅れてしまった理由は聞いている」と言いました。
すると、しばらくして面接室に1人の男性が入ってきたのですが………。なんと、先ほど私が駅で介助した、あの老人が目の前に立っていました。駅で倒れていた老人は、面接を受ける会社の会長だったのです。
そして前の会社の社長は、社員全員が路頭に迷わないようにと、十分な退職金を用意してくれただけではなく、かつての部下である会長に相談を持ち掛け、うちの社員が応募してきたら前向きに採用検討してほしいと要望していたことなどを聞きました。就活を始めて最初に応募した会社の創業者が、前の会社の社長と深い関係だった偶然はうれしい驚きでした。
その後、会長は自身が悩んでいたときにいつでも相談に乗ってくれた前社長と私が重なると言い、「こんな光栄なことはない」「これからよろしく頼むよ!」と、私に握手を求めてくれました。
新たな始まり
私は新たな職場でのスタートを切り、事務職として充実した日々を過ごしています。前社長から喜びのメッセージを受け、前社長から教わったことを、これから新たな職場でいかんなく発揮することを誓いました。私の人としての歩みもこれからが本番。精一杯働いて、ご縁があった人たちに、恩返しの気持ちを抱き、前向きに未来に歩んでいきます。
--------------
人との縁や善意は連鎖し、新たな職場での成功の一歩を踏み出せたようで何よりです。与えられたご縁に感謝し、明るい未来を切り開いていきたいですね。
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!