娘の敏感すぎる嗅覚
娘は保育園のころから、においにとても敏感でした。名前の書いていない落としものも、娘がにおいを嗅げば誰のものかすぐにわかります。
少し前に廊下を通ったのが誰か、姿を見なくてもにおいでわかることもあったそうです。保育園の先生方も驚くほどでした。
そんな娘は、小さいころは何かにおいを嗅ぎつけては「くさい!」と言ってしまうことが多々ありました。誰かが食べているものだったり、すれ違う人のにおいだったり、原因はいろいろです。
娘と違ってにおいに疎い私は、何に対して言っているかわからないこともしばしば。外出時は娘が「くさい」と言うことで誰かを不快にさせないか、ヒヤヒヤしていました。
そして事件は起こったのです……。
ついに恐れていた事件が!
そんな娘がある日、近所のおじさんに「くさい!」と言ってしまいました。普段からよくタバコを吸う方で、そのときは喫煙中ではなかったものの、においを感じとったのでしょう。しかも運悪く、ちょうど保育園で受動喫煙についても教育を受けたばかり。娘は「タバコは体によくないよ!」とおじさんを注意し始めました。
相手はいつもあいさつしてくださるとてもやさしい方。私は全身の血の気が引く思いで、「すみません」と平謝りする私に、その方は「そうだね、おじさんが悪いね。教えてくれてありがとう」と言ってくださいました。やさしい方だからこそ、心苦しい……。あのときのことは今でも忘れられません。
その後大きくなるにつれて娘も空気を読めるようになり、すぐに「くさい!」と口にすることはなくなりました。あのときやさしく対応してくださったおじさんには、本当に感謝しています。
著者:やまねゆき/女性・主婦。2015年に出産。1児のママ。学生時代から預かりボランティアなどで子どもたちと関わる。現在は出産や育児体験などを執筆中。
イラスト:きりぷち
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています