結婚してから、一度も実家に顔を出せていない私。母も心配していたので、たまには帰省したいと夫や義両親に伝えました。
しかし「嫁入りしたら実家を捨てるのが常識だ」と言われて即却下。ここぞとばかりに普段の家事についても文句を言われ、ハズレ嫁だと笑われるのです。
ここだけ昭和!
結婚以来頑張ってきましたが、我慢の限界です。私への態度を改めてほしいと、何度も夫に訴えていたのに、言葉も対応も強くなる一方……。私は離婚を決意しました。
あとは夫と義両親に切り出すだけ……。そんなタイミングで、ちょうどよく親戚の集まりをすることになりました。親戚の集まりはひどいもので、嫁は座る暇もなくキッチンで働きっぱなし、男性は『いかに嫁が出来損ないか』を肴にお酒を飲みます。
そこだけ昭和にタイムスリップしたかのような集まりですが、これはチャンスです!
自分の娘だけは特別?!
集まり当日。私はいつも通り義母に怒鳴られながら給仕をします。そんな中、義姉と義妹が帰宅。かわいい娘が揃って帰ってきたので、義両親はニコニコしています。
宴会に加わった義姉と義妹に、義父は私がどれだけ使えない嫁かを語り始めます。しかし実家を出たら同じ“嫁”である義姉と義妹は、ところどころで義父をたしなめ、私の味方をしてくれたのです。
しかしそれが気に食わないのは義父。お酒の力も加わって、すっかり気を大きくした義父は「嫁のしつけは厳しくしないといけない、実家に顔を出したいなんて嫁の自覚がない」と大きな声で言うのです。
すると……、
「嫁に行ったら実家に帰ったらいけないんだ。じゃあ今すぐ出ていくね」
「私も!」
と、義姉と義妹が立ち上がったのです。
2人とも結婚しているので、義父の言い分を聞くとなると、そうなりますよね。
「嫁に行ったら実家は捨てろ」
「まさか自分の娘だけは特別なんて都合のいいこと考えてないよね?」
「私が旦那の実家で同じ扱いを受けていたら、お父さんどう思う? 最低だと思わない?」
そう言われて、何も言えなくなる義両親。
「そんなひどいことをいう実家にはもう来たくないから、私たちもうここに来るのはやめるね!」義姉と義妹は宣言し、帰る準備を始めました。
私には「嫁に行ったら実家は捨てろ」と言っていたのに、実家を捨てようとする娘たちを義両親は必死に止めています。なんて身勝手な義両親なのでしょうか……。
結婚して得たものは
義両親が慌てている横で、私は離婚届を夫に差し出しました。「嫁のくせに離婚を切り出すなんて非常識だ!」と言われますが「こんな非常識で出来損ないの嫁がいなくなったら嬉しいでしょ」と返すばかり。私は、義姉と義妹とともに家を出ていきました。
その後、離婚が成立し、晴れて夫や義両親との関係を断つことができました。結婚には良い思い出はありませんでしたが、唯一良かったことといえば、義姉・義妹と友だちになれたこと。離婚後も、義実家や夫の愚痴を聞いたり、私の恋愛相談に乗ってくれたりと、良い関係性を維持しています。
結婚すると女性は婚家に入る、という時代もありましたが、今はそのような考えは廃れ始め、相手の家に入るのではなく、ふたりで新たな家庭を築くと考える人が多いように感じます。家族の形は時代と共に変化するもの。価値観を押し付け合うのではなく、柔軟に合わせながら生きていきたいものですね。