あるとき、いつものように娘のお迎えに向かっていると、すれ違った人と肩がぶつかってしまいました。謝ろうとすると、めちゃくちゃ怖そうな人で、心臓が止まりそうになりました。「わざとじゃない」と必死で言いますが、なんだか因縁をつけられそうな怪しい雰囲気になってしまいました。
ママ友が怖い人を撃退!
そこにサエが通りかかり声をかけてきました。来たらダメだと心の中で叫びましたが、そんな声が届くわけがありません。しかしサエを見た途端、怖い人が態度を一変。「今度から気をつけろよ!」と私に告げて、そのまま去っていきました。急用でも思い出したのでしょうか……? いずれにしても、助かりました。ひとまず、サエに何事もなくてよかったと、安心しました。
サエともっと仲良くなりたかったのですが、ランチ会にも顔を出さず、距離を縮めるチャンスがありません。しかし数日後、思いがけないチャンスが巡ってきました。
お近づきになるチャンス
幼稚園のバザーで、サエと同じデザート係をやることになった私。打ち合わせも兼ねて、幼稚園の近くのカフェで食事をすることになりました。
お昼ごはんを食べながら打ち合わせをしようと思っていたものの、待っても待っても飲み物も食事も運ばれてきません。幼稚園のお迎えギリギリのところで運ばれてきた料理は、とても料理と呼べるようなクオリティではなく、せっかくの機会だったのにがっかり……。
それでもサエが「ここはイタリアンじゃなくて、創作料理のお店だったのねw」なんて言ってくれたので、嫌な雰囲気が払拭されました。
この店、ぼったくり!
ランチを終えて店を出ようとすると、食事代がまさかのふたりで2万円!何やら席代やサービス料が加算されているのだとか……。そんなめちゃくちゃな値段設定が通用するなんて信じられません。私がオロオロしていると、店員さんが「食べたんだから払え!」と脅してきます。
サエの顔を覗き込むと、まさかのニコニコ笑顔です。「仕方ないですねぇ~持ち合わせがないので父を呼んでもいいですか?」そう言って、スマホを出して電話をかけ始めました。
この電話で事態は一変! サエの会話に聞き耳を立てていた店員の1人が、何かに気づいたようで、ぶるぶると震え始めました。そして、さっきまでの態度がウソのように、ママ友に命乞いを始めたのです。私は何が起きているのか、状況が飲み込めずにいました。
何が起こったの!?
すぐに、サエに似たキリッとした顔立ちをしたサエの父が到着。すると店員は、口々に私たちに謝り出したのです。お店の奥からは、店員さん同士が言い合う声が聞こえてきます。「あの親子には気をつけろって言っておいただろ!」「だってあんなに平凡な女だなんて思わなくて……」私にはなんのことだかさっぱり……。
一体何が起きたのかはわかりませんが、おかげでぼったくられずにお店を出られました。それ以来サエとは度々ランチをする仲になりましたが、互いにその日のことは話題に出しません。サエが何者だったとしても、大好きなママ友であることは変わらないのです。
まるで映画やドラマの中で見るような体験でしたね。なんにせよ、ぼったくりの被害に遭わなくてよかったです。