「歳も歳だし、2人きりだと不安になったのかな」「うちの親ってこういう突拍子もないことを言い出すんだよ。しかもなかなかしつこいし」と、義両親から同居を求められたことについてつらつらと話し続ける夫。
同居しないって言ったじゃない
もともと、どちらの両親とも同居しないという約束で籍を入れた私たち。当然、義両親から同居の打診をされても、受け入れるわけにはいきません。
「絶対に断ってね?」「じゃなきゃ私家出するかも」と言うと、夫は焦ったように「それはやめてよ!ちゃんと同居はしないって明日にでも伝えてくるから」と返してきました。
義両親は良い距離感で関係を保ってくれていると感じていた私。当初の約束を破り、同居を求めてくるような人たちには思えませんでした。この時覚えた違和感は、やはり当たっていたのです……。
「同居しないなら縁を切る」
翌日――。
同居の話を断りに、義実家へ向かった夫。ほどなくして夫から電話がかかってきたので出てみると……。
「同居することになった」
夫の言葉に、「私は嫌だって言ったのに?なんで勝手に決めてるの?」と私は混乱。夫によると、断るどころか義両親に丸め込まれてしまったそう。
いくら義母が家事をやってくれても、居室が別でも、立場的に気を遣ってしまうと思っていた私。心安らげる場所を失いたくないから、同居は嫌だと、夫に伝えていたのです……。
私も話し合いに参加させてもらえないか聞いたところ、「もう無理なんだって、何言っても」と夫。さらに「二世帯用にするって。実家のリフォームも決定したから」と爆弾発言!
「同居しないなら縁を切る」と脅されて、夫はうちの貯金からリフォーム費用まで出したそう。うちの負担分は1/3とはいえ、無断で貯金を崩されたことには納得がいきません。
無理やり同居を進められてしまい、私は義実家との縁が切れても構わないと思ってしまいましたが、夫は「親と縁なんて切りたくない……」と半泣き。「ちょっとの間だけ、お試しだけでも!」「俺の親孝行だと思って!」とまで言われてしまいました。私は「考える時間がほしい」と言って、いったんスマホを置きました。
義母との連携
その後――。
落ち着きを取り戻した私は、義母に連絡することに。話し合いの場に妻である私を参加させず、無理やり同居を進められたことに腹が立ってしまい、一言言ってやらないと私の気が済まなかったのです。
「同居の件ですが、今は難しいかと…」
「あなたが同居したいって言い出したんじゃないの?」
「え?」
義母は、「同居をして家事の負担を減らしてくれなきゃ離婚する」と私が言っていると夫に泣きつかれたそう。夫は義両親にも私にも嘘をついていたのです。
2週間後――。
「同居のことなんだけど」と私が切り出すと、「今さら嫌だって言われても困るからな」と不機嫌になった夫。「違う違う、家のリフォームはどうなったのかなって思って」と続けると、機嫌を直したのか、「業者は決まったけど、打ち合わせが多くてまだ作業には入れてないんだよな」と状況を語り始めました。
「ところで、うちの貯金から出したリフォーム代はどこにいったの?」と尋ねると、「業者に支払ったけど」との返事が。「おかしいね、リフォーム代はすべてお義父さんとお義母さんが持ってくれたって聞いたよ」と言うと、しばらくの沈黙の後、「え?母さんたちと連絡とったの?」と返されました。
「リフォーム代を多く出してくれるんだから、お礼の連絡くらいするでしょ」「そしたらお義母さんたちが全額払うって聞いたんだけど?うちの貯金はどこに行ったのかな?」
「実際の費用には足りなかったから、もう一度母さんたちに催促するのもなんだと思って……」と言い訳をはじめた夫。そこで、私はこの2週間で手に入れたある情報で夫を追い込むことにしたのです。
「この2週間、あなたのことを興信所で調べてもらいました」「数カ月前から不倫してて、その不倫相手と住むための家を借りるためにうちの貯金を使ったんでしょ?」「私と別れるために同居を持ち出したんでしょ?」
「知り合いの引っ越しを手伝っただけだよ」とシラを切ろうとする夫。「新しく借りたマンションから手をつないで出てくるところの写真もあるけど?」と証拠を持っていることを告げると、ようやく観念したのか、「ごめん!」と謝ってきました。
「数回会ってるだけの関係で、深い付き合いじゃないしすぐに関係も切る!」「最近は喧嘩も多くなって、ちょっと価値観が合わないなって思ってたんだ」「だから離婚とか早まらないでほしい……」
いろいろとのたまっている夫ですが、私の心は1mmも動きません。義両親と私、両方に嘘をついて同居を押し進めたのは、慰謝料を払いたくなかったから。無理に同居させれば、私から離婚を切り出してくれると思っていたようです。興信所の人が録音した音声にしっかりとその言葉が入っていました。
「本気で最近後悔してたんだ……」「もう不倫相手の家からも出たよ」「もう不倫相手とは二度と会わないし、関係も終わらせた」と、形だけの謝罪を続ける夫。
「こんな短時間で関係を終わらせたの?」「それに、家から出てきてないでしょ?私、あなたのいるマンションの前にいるんだから」「ちなみに、お義父さんとお義母さんもいます」
自分の両親までもいると知って、泡を食ったようにマンションから転がり出てきた夫。その後、夫が義両親にこってりしぼられたのは言うまでもありません。
その後――。
話し合いの結果、私と夫は離婚。元夫は慰謝料で無一文に。さすがに不倫相手も離れていったことでしょう。
私は受け取った慰謝料を使って、遠くの土地へ移り住みました。実は、夫の不倫が発覚した時から心がボロボロだったのです。
自分の両親や味方になってくれた義両親、友人たちの支えもあって、今は徐々に落ち着いた生活を取り戻しています。まだ本調子ではありませんが、前を向いてがんばっていこうと思っています。