ウワサ通りの…
とうとう私のいるグループの番がやってきました。入室すると、人事部長と営業部長、社長がそろって面接官という、めちゃくちゃ緊張するしかないシチュエーション。おまけに、順に名乗り始めた学生に対して、「ん? 聞こえないけど、あんた受かる気ある?」と威圧的な態度で人事部長が口を挟みだしたのです。
私たちが何かを言うたびに、やる気のない顔をした面接官全員が、ああだこうだとダメ出しを連発。ピリピリモードの中で面接は進み、すでに泣き出しそうな就活生もいる中で、出身地と家族の話になりました。
歯医者や銀行員など親の職業を次々答えた学生たちと、そのどれもに理不尽なケチをつけて見下す面接官たち。私にも同じ質問が投げられたのですが……。
農家で何が悪い!
私は、両親が地方で農家をしていることを伝えました。すると案の定、実家が農家ぁ? とバカにするような目で見てきたのです。
「東京で夢をかなえられるとでも思っているわけ?」「田舎育ちはとろい」「親の顔が見たい」などと、根拠のない偏見に満ちた言葉を投げかけてきました。
私のことだけでなく、親のことまで卑下されて、私はぶち切れ寸前。大学の名前も背負っていることだし、と耐えていましたが、我慢の限界です。「あの……」と口を開いた瞬間、ドアがそっと開きました。
「誰の顔が見たいって?」と、聞き覚えのある声が聞こえてきたのです。
母の登場で形勢逆転!
戸惑いながら面接官たちもドアのほうに視線を向けると、そこには私の母が仁王立ちで立っていました。「なんで?」と驚く私に、ニヤリと笑った母。「その子の親の顔が見たいって? 要望通り、見せに来たわよ」
すると、今まで圧迫面接を強行していた社長が、母に向かって震える声で叫んだのです。「あ、あなたがどうして東京に……」
母は、「近所の泣き虫っ子が上京して社長になったかと思いきや、ずいぶん傲慢に振舞っているって、地元では持ちきりだよ。自分も田舎出のくせに、農家を見下すなんざ偉くなったもんだね」
そう、この社長、私の両親が手広く農業を営んでいる田舎で生まれ育った同郷者だったのです。しかも母は、かつて極貧だった彼の親に手を差し伸べ、今もいろいろ便宜を図ってあげているのだとか。
底辺呼ばわりしていたけど?
横でぼう然としていた人事部長は、「警備員呼びますよ? いきなり面接に乗り込んでくるなんて……」と憤慨。しかし母は、「呼びたきゃどうぞ。高圧的な態度で接して、何が面接だ」と堂々としています。
極めつきは、「そういうことなら、こっちももう社長の実家を手伝わないよ。年商3億の農家の私たちを底辺呼ばわりするくらいだから、手助けは不要だね?」というセリフ。社長は慌てて「そ、それは困る!」と泣きそうな勢いで謝りだしました。
母は、あきれたようにそんな社長を諭したのです。
「実は、あんたの会社にはいろいろ問題があって業績もがた落ちだって、田舎のお母さんたちが心配していてね。ちょうどうちの娘が面接を受けるっていうから様子を見に来てみたら……。こんな高圧的な態度じゃ、良い人材が入ってこない上に、そのうち訴えられる。農業も企業の社長も、助けがないと成り立たない。常に感謝の気持ちを持って反省しなさい」
圧迫面接官たちの末路
母の言葉にうなだれる面接官3人。これで面接はうやむやになったのですが……。
後日、彼ら3人が訴えられ、会社の評価もますます下がったと聞きました。実はあの日、先に面接を終えた人がボイスレコーダーで録音をしており、速攻で弁護士に相談したのだとか。最終的には他の会社に吸収合併され、社長たち3人は解雇されたようです。
私はと言うと……。本命企業から内定をもらい、今は残り少ない大学生活を満喫しています。助け合いと感謝の気持ちを忘れずに、自分がどんな立場になっても誰にでも誠実に接すること。人として大事なことを教えてくれた母がまた遊びに来るので、一緒に就職祝いをしたいと思います。
--------------
会社の重役3人が、そろいもそろって圧迫面接とは今どきあり得ませんし、訴えられても仕方ないのかもしれません。地方出身者や職業に対する偏見も看過できませんよね。これを機に反省して、若者が付いていきたくなるような大人の姿を見せてほしいものです。
▶▶▶コメントするだけでギフト券GET!『コメントグランプリ』開催★
ベビーカレンダーの記事を読んだ感想やあなたの意見をぜひ「コメント」してください。「コメントグランプリ」開催期間中、「コメント」した総数に応じて、Amazonギフト券【賞品総額30万円】が当たる&もらえる! たくさんのご参加お待ちしています♪
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!