それでも夫は「疲れるかもしれないけれど、結婚式が続くのはおめでたいこと」と言って、毎週ニコニコと出掛けていくのです。そんな中、私にも結婚式の招待状が届きました。
友人から、突然の連絡
あまりにも急なのですが、日取りは2週間後。送り主は中学の同級生です。彼女はできることなら関係を断ちたいと思っていた相手。なぜ急に招待されたのか不思議でなりません。
しかし「結婚式に招待されるのは嬉しいこと」という夫の助言のもと、結婚式への出席を決めました。出席の返事をすると、即友人から連絡が。出席のお礼かと思えば「ご祝儀ははずんでほしい」という図々しい要望でした。
新郎はまさかの…!
そして迎えた結婚式当日。受付を済ませて控え室に進むと、飾られている写真を見てビックリ! なんと、新郎は私の元夫だったのです。しかしそれももう昔の話。気にせず結婚式に出席しました。
披露宴の歓談中、元夫が私に話しかけてきました。まさか私が妻の友人だと思っていなかったようでしたが、「俺に未練か? ストーカーかよ」と笑っています。おめでたい席でゴタゴタするわけにはいかず、にこやかに交わしていると、今度は友人が現れました。
友人は元夫の腕を取り「彼、今は大手企業に勤めているのよ! 羨ましいでしょ」とニヤニヤ。その顔を見て、この結婚式は友人に仕組まれたものだと確信しました。エリートでイケメンの元夫に私がフラれたと思い込み、見せつける気だったのです。
信じられない偶然
しかし友人が誇らしそうに教えてくれた元夫の勤務先“大手企業”は、夫が社長を務める会社でした。世間は狭いとはよく言いますが、さすがにこんな偶然があるなんてびっくりです。
終始私にマウントをとる友人と元夫。結婚式だからと私はずっと我慢して、やり過ごしていました。
やっと式を終えたころ、式場に夫がやってきました。夫の姿を見た元夫は、すかさず駆け寄ります。憧れの社長がイチ社員である自分の結婚式に駆けつけてくれるなんて、それはそれは嬉しかったことでしょう。友人も自分の夫が、“結婚式に社長が駆けつけるほどの優秀な社員”だと信じて、誇らしそう……。
マウントをとった挙句…
しかし夫は、別の結婚式への出席を終え、私を迎えにきてくれただけ。「社長! 来てくれてありがとうございます!」と大きな声でいう元夫に対しても「誰だっけ……?」という顔をしています。
その上「はじめまして!妻がお世話になっています」なんて言うものだから、友人も元夫もポカンとしています。私は「こちら私の夫です」と紹介だけして、その場を後にしました。
チラリとふりかえると、マウントを取ろうとしていた友人は悔しそう。社長が来たと喜んだ元夫も、夫から自社の社員であることをわかってもらえず、招待客を前に恥ずかしそうにしていたのでした。
結婚式でまでマウントを取ろうとするなんて、残念な友人でしたね。見栄を貼りすぎて恥をかくなんて、ある意味一生忘れられない結婚式になったのではないでしょうか。