「月末、母さんと旅行することになった」「連休も取ったし、多分1週間くらい家を空けるよ」
突然、夫から言われた義母との親子旅行。私と娘は1年以上どこにも連れて行ってもらえないのに……。
突然の親子旅行
「私たちも一緒じゃダメなの?」と聞くと、「うちの実家は遠いし、頻繁に会える距離じゃないだろ?」「母さん、旅行好きだし、たまには親子水入らずもいいかなって」と返してきた夫。
もう決定事項のようなので、行くなとは言いません。しかし、有給にも限りがありますし、少しは相談してくれたってよかったのではないかと思ってしまいます……。
「母さん、とっても楽しみにしててさ、毎日連絡来るんだ」「俺って本当好き勝手やって、周りに迷惑かけてたからさ……。でももう三十も半ばだし、家族のことを考えるようになったんだ」「旅行後の俺は変わるぞ、ちゃんと家族サービスもするからさ」
夫はそう言うものの、私はにわかには信じられませんでした。娘の誕生日パーティーは「取引先と飲みに行くことになった」と言ってすっぽかし、運動会に来たはいいもののずっと寝ているといった前科がいくつもあるのですから。
「いつも口だけじゃない……」とつぶやくと、「今度は本当だから!」と夫。「娘と行きたい場所を考えておくから」「もしも今度約束を破ったら、本気で怒るからね」と念押しして、私は義母と夫の旅行を了承したのです。
義母からの電話
数週間後――。
夫を旅行に送り出した私。夫が家を出てから2時間後くらいに、義母から私に電話がかかってきました。
「息子と連絡が取れないんだけど、家にいる?」
「お義母さん、夫と旅行中じゃないんですか?」
「何言ってるの?私入院中よ…?」
今朝、義母は日課のジョギング中に足がつって転倒。その時に左手をついてしまったようで、骨折してしまったそう。頭も打って気を失っていたため、今日一日は様子見も兼ねて入院になるとのことでした。
義母に親子旅行のことを聞いてみると、「そんな話、聞いてないわ」との返答が。「あのバカ息子、どこで油売ってるのかしら?」「今すぐ帰って来いって伝えるわ!」と鼻息荒くなった義母を、私は慌てて止めました。
なんだか怪しい夫。私はあえて泳がせて、夫がどこで何をしているのか、誰と一緒にいるのかを調べたいと提案しました。すると、義母も協力してくれることに。
「怪我で大変な時にごめんなさい……」と私が謝ると、「嘘をついた息子が悪いのよ!こちらこそごめんなさい」「息子から連絡が来たら、怪我をして入院したことだけ伝えるわね」と義母。
「他になにか私にできることがあったら言ってね。……と言っても身動きが取れないからあまり役に立たないかもしれないけど」と言った義母に礼を言い、私は夫のことを徹底的に調べ上げることにしました。
おかえりなさい、さようなら
数日後――。
家に帰宅したらしい夫から「どこいるのー?」「もしかして、娘連れて実家にでも遊びに行ってる?」とのんきなメッセージが届きました。
私は「テーブルの上にあなたに見てほしいものがあるから、今すぐ確認して」とだけ伝えました。数分後、夫から電話が。
「これどういうことだ!?」「なんで離婚届が置いてあるんだよ!」とうろたえながらもまくしたてる夫。
「もしかして母さんを優先して旅行に連れて行ったから……?」「俺がいつも家事育児を任せっきりだったから……?」と夫。どうやら自分の日頃の行動に問題があったことは自覚していたようです。
「俺、もっと家族に寄り添うようにするって言ったばっかりじゃん。なのにいきなり離婚なんて……」とぐすぐす言い出した夫を、「離婚理由はあんたが不倫相手と旅行に行ったからだよ」「家族を大事にするって言っておきながら、言ってることとやってることがかみ合ってないよね?」と私は突っぱねました。
「旅行は母さんと行ったんだよ!母さんは帰り際に充電無いって言ってたし、今すぐ連絡は取れないと思うけど……」と言い訳をし始めたので、私は「大丈夫、直接お義母さんに聞くから」と返しました。
私は娘を連れて、義母の家に来ていたのです。義母のもとには数秒前に夫から「母さん、悪いけど、俺と旅行してたってことにしてくれ!」とメッセージが届いていました。私と夫の電話でのやり取りを聞いていた義母は呆れ顔。
「え、母さんのところにいるの……」と言ったっきり、しばらく黙ってしまった夫。このままでは分が悪いと思ったのか、「実は、友だちと……」と言い出しました。「私たちの結婚式に来てた人?」と聞くと、「いや、大学時代の友だちで……」「結婚式には都合が悪くて来れなかったやつで……」と夫はしどろもどろ。
「いい加減に白状してよ」「家のパソコンで予約取ったでしょ?全部履歴残ってたよ」と言うと、「だから、そこに男友だちと行ったんだって!」「変な誤解はやめてくれよ!」とまだしらを切ろうとする夫。
「誤解じゃなくて、この目で見たんだよ」「私、両親に娘を預けて、友だちとそっちに行ったんだから」「あんたと不倫相手がイチャイチャしながら楽しんでたところ、証拠の動画も写真もしっかり撮ったけど?まだ馬鹿な言い訳を続けるつもり?」
ここまで言っても、「違うんだ……」と夫。「本当は旅行なんてしたくなかったんだ!」「俺が一番大切なのは家族だって気付いたから、彼女には別れを告げたんだ」「そしたら最後の思い出に旅行したいって言われて仕方なく……」
いくら夫がこれから「浮気しない」「裏切らない」と決意したところで、不倫した事実は消えません。不倫相手と別れたからと言って、許せることではありません。
家事育児を私に押し付けて、女遊びに呆けていた夫。私たち家族は旅行に連れて行かないくせに、不倫相手のお願いなら簡単に聞いてしまうのです。
「離婚だけはどうか考え直してください」「家事もするし、娘ともたくさん遊ぶ!だから、どうか……」と懇願してきた夫。しかし、夫がこの口だけの約束を守ったためしなんてありません。
「そういえば」と、自分でも驚くくらい明るい声で切り出した私。「さっきあんた達が別れるまで、私の友だちが見張っててくれたんだけど……」「お互い、『またね』って言って手を振って別れたらしいじゃない」
「それは、言葉のあやで……!」「もう会わない!二度と傷つけるようなことはしないから!」と夫。何を言われても、もう私の心には響きません。私や娘を悲しませることしかできない口だけの男は、書面でとっとと縁を切るのが一番だ、と私はあらためて思ったのでした。
その後――。
離婚したくないと泣き喚いていた夫を、義母が一喝。娘の親権は私がもらい、私と夫は離婚しました。
私と娘は義母の手首が治るまでの数カ月間、義母の家で一緒に暮らしていました。私も自分たちの家には戻りたくなかったので、義母が快く同居させてくれて助かりました。本当に義母には頭が上がりません。
今回助けてくれた義母や友人、そして娘を預かってくれた両親への感謝を忘れずに、これからの新しい生活もがんばっていこうと思います。
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