好意を持たれるのは悪いことではありませんが、程度の問題があります。前は昼休みに急に連絡してきて、一緒に食事をしようと誘われました。こちらの都合も考えず、一方的に自分の思いを押し付けてくる人で、仕事が終わった後や週末の娘との貴重な時間まで拘束しようとしてくることに正直困っていました。
病的なしつこさに…
私は、娘を育てている間は誰とも交際するつもりはありませんでした。しかし取引先の男性は、病的なしつこさで私のことを追い回すのです。「プレゼントを渡したい」と帰宅する私の後をつけたり、私と同僚が男女の仲だと勘違いして攻撃されたりしていました。
耐えかねた私は上司に相談し、その結果、会社から取引先へ厳重注意することになり、男性は会社から個人的な付き合いを控えるよう言われたはずでした……。
しかし、男性は「好きだ、娘の父親になりたい」と、自分の気持ちばかりぶつけてくるのです。
挙げ句、亡くなった主人のことは早く忘れて、自分と幸せになろうとまで。私も娘も今十分に幸せですし、夫のことを忘れるつもりなどありませんでした。
あなたは、誰?
ある夜のこと。突然メッセージが届き、私は目を疑いました。
「ママ、私です」
「どうか助けてください」
誰かが私を、自分のママだと勘違いしているようでした。
「頭から血が止まらないの」
いたずらかもしれないと思いましたが、本当だったら一大事。私は慎重に話を聞くことに。
「誰? 私の娘は隣にいるけど……」
相手の言うことには、父親の携帯電話の電話帳に「妻」と記載された番号が私だというのです。そこで離れて暮らす母親だと勘違いして、連絡をしてきたとのことでした。フルネームを尋ねてみてわかったのですが、その子はあの男性の娘だったのです。
なんと、男性は娘に手を上げてケガをさせていました。しかも手当もせず、飲みに出かけたと言います。10歳だという娘さんを助けるため、私は教えてもらった住所に駆けつけました。
一方通行の不幸せ
私は傷ついた娘さんを病院に連れていき、警察に通報しました。
さらに衝撃を受けたのは、男性は、娘さんのお母さんである元妻を精神的に病ませました。そして離婚して親権を取り上げ、養育費を巻き上げていたと言います。そのくせ娘さんの養育をせず、傷つけてばかりいたわけですからとんでもないことです。
彼が「男ひとりでの子育ては大変なので一緒に育ててください、4人で家族になりましょう」と言っていたことを思い出し……本当にゾッとしました。
私は警察のほか、彼の会社にも報告をしました。心の安定を取り戻しつつあった元妻は、すぐ動いて娘を取り返したそう。娘さんはすっかり明るさを取り戻し、元気よく育っていると聞いています。
その後、男性は会社をクビになったそうです。仕事を失うことが恐ろしく、最後は取り乱していたようですが、罰金刑と接見禁止命令を受けて彼も大人しくなったと風の便りに聞きました。
わが家も再び安心安全な暮らしが戻ってきて、一安心。これも、家族、友人、同僚など、周りの方々がやさしく見守り、気遣ってくださるおかげです。とても感謝しています。
何事も一方的な思いでは、幸せになれません。ましてや、娘さんや元妻にひどい仕打ちをしていた人と誰も一緒にはなりたくないですよね。自分の思いを大切にすることも大事ですが、それと同じくらい相手も大切にしたいものですね。