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高級カーディーラーに行くと店員に「貧乏人に売る車はない!」⇒仕方ないので隣のディーラーに向かった結果

私は現在38歳の主婦。実は高校生のころ、難病にかかった父の手術代をまかなうため、母が仕事を掛け持ちし私もバイトに明け暮れて、苦労を重ねました。しかしそれから20年。今は愛する夫と娘と3人で幸せに暮らしています。ところが、ある日訪ねたカーディーラーに見覚えのある女性店員がいて……。

 

1軒目のディーラーにいた店員は?

新車が必要になった私。近所のカーディーラー2軒に行き、どちらか良いほうで購入しようと思っていました。

 

1軒目に入店すると、恰幅(かっぷく)のいい女性店員が声を掛けてきました。しかし、私の顔を見るなりピタリと動きを止め、「もしかして……」とやたら親しげな態度に変わったのです。

 

「私よ私! 高校のクラスメイトのマリよ!」と言うので、よく見てみれば、たしかに面影があるような……。20年前、マリは大学進学を機に1人暮らしを始めたと聞いていました。それからずっと地元で彼女の姿は見ていなかったので、偶然の再会に驚いていました。

 

「久しぶり! ここね、うちのパパが持っているディーラーの1つなの」

 

どうやらマリは、父親が経営する店舗で働き始めたようなのです。

 

既視感満載の接客

私が高校の同級生とわかってから、マリは手のひらを返したように横柄に。

 

「あんた相変わらず、貧乏くさい身なりをしているわね。何そのボロボロの服。ウチは高級ディーラーなんですけど?」と私を上から下までジロジロ観察しています。

 

私はラフな普段着で来ましたが、お店に行くのにドレスコードなどないですし、決してボロではありません。カジュアルなだけで、不快感を与えるような服装ではないはずです。

 

私が黙っているのをいいことに、マリは、「もしや高級車に憧れて試乗しに来た? 買う気がない相手に接客も無駄だから帰ってよ」とまで言いだしました。この高圧的な態度、まさに既視感があって……。

 

「あのころと全然変わっていない……」。私の脳裏に、20年前の記憶がふつふつとよみがえってきました。

 

 

あのころの記憶…

昔から、マリの家は裕福なセレブ。ただ、金持ち自慢が激しくて皆から嫌われていました。私のことはもちろん、事故で両親を亡くしバイトを掛け持ちして兄弟で暮らしていた同窓生のこともちょう笑する始末。私も彼もくだらないマウンティングは無視できましたが、ついに私の母親についてもバカにし始めたのです。

 

「あんたの母親、夜の店で働いているって? 貧乏過ぎてやばい~」

 

さすがに私が言い返そうとすると、隣にいた同級生の彼がふいに顔を上げ、マリに釘をさしたのです。

 

「いいかげんにしろ! 自分の力で稼いだこともないくせに人の家庭や仕事のことをとやかく言って、何さまなんだよ? いくら金持ちだろうと、お前みたいにはなりたくない」

 

あのとき、普段物静かな彼にハッキリ言われ、クラス中から白い目で見られたマリは、顔を真っ赤にして怒っていました。

 

その後、私たちは高校を卒業。マリは遠方の大学へ進み、私や彼は地元で就職したのでした。

 

それなら隣のディーラーへ!

マリとの思い出なんて、ネガティブなものばかり。私は彼女に背を向け、隣のディーラーへ行こうと決意しました。するとマリは、「あ、帰るのねぇ。ありがとうございました~」とニヤニヤしながら店中に聞こえるように言ったのです。そこで私は、同じくらい大きな声で宣言しました。

 

「ええ、隣のお店で10台買いますね!」

 

それを聞いて年配の男性店員がすっ飛んできました。「申し訳ございません! この者がご無礼を……」

 

彼はどうやらマリの父親、このディーラーの店主のようです。私は、貧乏人扱いされて帰るように言われた経緯を説明。彼は必死で平謝りでしたが、マリはまだ「だってこいつ、お金もないのに……」と私をにらみつけています。

 

ちょうどそのとき、夫と娘が店内に入ってきました。

 

「お母さ~ん。どう、良さそうな車あった?」

 

 

20年間の歩み

夫を見て、「あっ!」と何かに気付くマリ。そう、私はあの同級生の彼と恋に落ち、結婚したのです。

 

「貧乏人同士がくっ付いたの?」とせせら笑うマリに、夫は顔をしかめて言いました。「君は、マリ? 昔から変わっていないな。言っておくけど妻は今、超高級クラブを数店抱える経営者だよ。今日は、従業員用の車を10台買うつもりだったんだ」

 

この20年でいろいろありましたが、努力家で話じょうずな母のおかげで父の手術代を早くに稼ぐことができ、父は元気になって復職。その後に母は引退し、クラブを手伝っていた私がママを任されるように。さらに経営を学び、今ではオーナーをしているというわけです。

 

「昔バカにされた『夜の仕事』だけど、心配りや機微に富んだ話術で人を楽しませるハイレベルな接客業。車の1台も売れないあなたには到底無理ね。じゃ、さようなら」

 

顔面蒼白のマリにそう言い捨てて、私は隣のディーラーへ。とんだ再会でしたが、鼻を明かせたようでスッキリです。ちょっと大人げなかったかな……と思いつつ、笑ってウインクしてくれた夫と一緒に、娘の手をつないだのでした。

 

--------------

高校時代の友人と久しぶりの再会。と思いきや、20年たっても相変わらずのとんでもない同窓生でしたね。これに懲りて高飛車な態度を反省し、心を入れ替えてくれるといいですね。

 

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