さらに気になるのが、毎回「お父様もお呼びしたら?」と義母が言うこと。私の父は弁護士をしているいわゆるエリート。母と熟年離婚して以来ひとりで暮らしています。
どうやら義母は、父のことを狙っているよう。父はまったく相手にしていないというのに、諦める様子を見せません。
父が急逝
そんな最中、父が突然倒れてそのまま帰らぬ人となってしまいました。義母と引き離したいがために父と距離を置いていて、最後に会ったのは半年以上も前。もっと顔を見せてあげればよかったと、後悔ばかりです。
葬儀が終わりほっとしたのも束の間、夫と義母は耳を疑うようなことを言い出しました。
「よーし!遺産を分けよう!」
「老後も安泰ね。嬉しいわぁ〜!」
私が悲しんでいる横で、父の遺産のことばかり考えていたのです。義母が父を狙っていたのも、財産目当てだったのでしょう……。もはや、夫が私と結婚したことすら、父の財産目当てだったのではないかと疑ってしまいます。
父の遺産は…
夫と義母の前で遺産の話はしたくありませんでしたが、父が遺言を託していた弁護士さんにも都合があります。私は渋々夫と義母同席の元、遺産の話を始めました。
「全部で一体いくらあったの?」と義母は目を輝かせます。「家や土地などの資産も合わせると、おそらく1億8000万ほどです」弁護士さんの返事を聞いた夫は、笑みを隠せません。
父の遺産は遺言通り、私と兄で半分ずつ相続することになりました。そのとき夫が「これで母さんを楽させてあげられる」と呟いたのを、私は聞き逃しませんでした。
夫と義母の魂胆
相続の手続きが落ち着いたころ、夫は私に離婚届を渡してきました。夫の態度には呆れ果てていたので、もはや離婚に異論はありません。離婚届に判を押し、私たち夫婦の離婚が決まりました。
引っ越しの準備をしていると、夫と義母は遺産の半分をよこせと言ってきました。相続したときは夫婦だったのだから、遺産も夫婦の財産だと言い張ります。
私はポケットから100円玉を取り出して「あなたの取り分はこれくらいじゃない?」と、渡しました。
捕らぬ狸の皮算用
夫はバカにするな!と怒っています。しかし私は馬鹿になどしていません。
「遺産は共有財産に当たらないから、離婚時に配偶者には分けません〜」と伝えると、夫は焦ってスマホで検索を始めました。「本当だ……」その一言に、ふたりとも真っ青になっています。愚かな夫と義母は遺産が手に入ると勘違いし、お金を借りて車や時計、高級家具や家電を買い込んでいたのでした。
その金額は2000万円近くになるようです。もう買ってしまったものを手放しても、買った金額は手に入りません。呆れてものも言えませんでした。
故人を偲ばず、遺産のことで浮き足立っているなんて、人として神経を疑いますね。もし夫婦でいたら、多少なりとも夫は遺産の恩恵を受けたことでしょう。その前に離婚できてよかったのかもしれません。