腹痛で病院を受診すると、急性胃炎と診断されました。治療のため少し入院することに。久しぶりに時間ができて、ベッドに横になりながら、これまでの日々をぼんやりと振り返っていました。
目の前で交通事故が!
両親は私が5歳のころに離婚。それからというもの、母は女手一つで私を育て上げてくれました。母のおかげで高校にも行かせてもらいましたが、将来やりたい職業がなかなか見つけられませんでした。
私が高校生だったある日のこと、自宅近くの交差点を渡っていたとき、近くでドーンという衝撃音が。振り向くと、小学生ぐらいの男の子が出会い頭に車と衝突した様子。
夢との出会い
倒れた男の子は意識がありましたが、体を強く打ち付けてしまっている様子。私はすぐに119番に通報し、運転手が警察に事情を聞かれている中、救急車に同乗し男の子に付き添い病院まで行きました。
男の子が無事かどうかドキドキしながらロビーで待っていると、一人の看護師さんがやってきてやさしい声で、男の子が無事であること、そして私の行動のおかげで男の子を救うことができたと感謝してくれました。
交通事故がきっかけで……
それからすぐ、男の子の両親が病院に来て、泣きながら何度も私にお礼を言ってくれました。人生で初めて他人に心の底から感謝された瞬間で、この時私は将来看護師として病院で働きたいという気持ちが芽生えました。
その後、男の子は順調に回復し、無事退院。男の子は近所に住む小学6年生だということが分かりました。そして退院後も、自宅近くの公園で見かけると声をかけてくれました。
少年の夢
「僕、将来はカッコイイお医者さんになりたいんだ! 僕の怪我を治してくれたみたいなお医者さん!」と目を輝かせて話す男の子に、「そっかぁ! 私は看護師になりたいと思ってるんだ」と伝えました。
すると、「ねぇお姉ちゃん、いつか僕と結婚してくれる? 結婚したら、同じ病院で働いて、お仕事以外でもずっと一緒にいられるよ!」となんともかわいい提案をしてくれたのです。
私は「そうね~じゃあ、大きくなったらね!」と冗談半分に返事をしました。しかし男の子は親の仕事の都合で引っ越してしまいました。その後、高校を卒業した私は看護学校へ進学。夢を叶えて看護師になったのです。
12年後の再会
そして現在。退院が近づいたある日のこと、研修医の先生が病室に入ってきました。私が挨拶すると、その先生は「12年ぶりですね!」と言ってきたのです。
よくよく顔を見てみると、あの時の男の子だったのです! 夢を叶えて医師への一歩を進み始めていました。
どうやら、患者リストを見ていたら私の名前を偶然発見したのだとか。ここで声をかけなければ一生後悔すると思い、勇気を振り絞って会いに来てくれたそうです。
奇跡の出会いから
それからすぐに私は無事退院。そして退院の日に、その先生に食事に誘われました。再会した私たちはすぐに意気投合し、結婚を前提にお付き合いをすることになりました。
幼い日の衝撃的な出会いから始まった私たちですが、そこからお互いの夢を見つけ、今では一緒に人生を歩むパートナーとなりました。人生、何が起こるか分からないものですね。