双子の親権は前妻が持っています。夫は養育費の振込みを続けているものの、ほとんど面会はできていません。時折さみしそうな顔を見せる夫に、もう一度子どもを抱かせてあげたいと思っていました。
突然の別れ
そんなある日、前妻が交通事故で突然この世を去ってしまいました。夫と私が急いで葬儀に向かうと、そこには遺影の前でシクシクと泣く双子の姿が……。夫は双子のもとへ歩み寄り、そっと肩を抱いていました。
その姿を見ていた親族らしき人たちが、双子の面倒は誰がみるのかとヒソヒソ話しています。どうやら、前妻のご両親もすでに亡くなっていて、双子を引き取る人がいないようです。このままでは2人揃って施設に入るか、好意的ではない親戚の家に別々に引き取られることになるでしょう。
双子のママになる!
小さい体を寄せ合いながら泣いている双子の姿を見て、私は自分が育てると覚悟を決めました。もちろん義母は大反対しましたが、押し切る形で双子を迎え入れ、4人での生活が始まったのです。
しかし、子どもたちとの生活は思っていた以上に大変でした。何より、双子は私に懐きません。夫が丁寧に説明しても「あなたはママじゃない」とくり返し、お世話をしようとしても拒否します。
心が折れそうになっていたある日、心労が重なった私は家で倒れてしまい、救急車で病院に搬送されてしまったのです。
義母の入れ知恵
病室のベッドで目を覚ますと、ベッドの脇で双子が泣いていました。状況が理解できずにいると、私が目を覚ましたことに気付いた夫が、双子が私に懐かなかった理由を静かに話し始めました。
双子は義母に「お前たちはママを不幸にする疫病神だ」と言われていたとのこと。それを信じた双子は「ママと認めてはいけない」「もう二度と自分たちのせいで誰かを失いたくない」と思い、冷たい態度を取っていたそうです。
こんな小さな子どもにそんなひどいことを言うなんて、信じられません。義母と一緒にいたら、私たちも双子も不幸になってしまいます。私たちは義母から離れたところに引っ越すことに決めました。もう連絡を取るつもりもありません。
「私たちは親子になれる」
私が倒れたのは双子のせいではないと伝えると、ふたりはホッとした顔を見せ、見たことにない笑顔で笑いかけてくれました。その顔を見て「私たちは親子になれる」と確信したのでした。
その後、ふたりは私に甘えてくれるようになり、私は念願のママになった喜びを噛みしめながら暮らしています。
ふたりはママを失った深い悲しみを二度と味わいたくないと必死だったのでしょう。双子の気持ちを思うと胸が痛みますね。これからはたくさん楽しい思い出を作りながら、幸せに暮らしてほしいですね。