一緒に暮らすようになってから、積極的に息子とコミュニケーションを取ろうとしましたが「この人はママじゃない!」と、なかなか心を開いてくれませんでした。レストランに誘っても「行きたくない」と拒否。いつかはきっと……という希望と、もう無理かもしれないという諦めが行き来していたのですがーー。
精いっぱいの愛情を…
こんなに頑なに私を認めてくれないとなると、前妻である本当のママはさぞかし素敵な人だったのだろうと思っていたのですが、その逆。息子のことを放っておいて遊びまわるような人で、結局浮気相手と逃げてしまい、後からサイン済みの離婚届が送られてきたのだとか。
それを聞いたら諦めるわけにはいきません。私は息子に精いっぱいの愛情を注ごうと心に決めました。
ちょうどそのころ、息子が学校から1枚の手紙を持って帰ってきました。そこには「お弁当の日について」と書いてあります。設備点検の都合で、来週から3日間お弁当が必要になるようです。
息子にお弁当のリクエストを聞いてみても「何でもいい」と相変わらず。俄然燃えてきた私は、夫に息子の好みを聞き、腕によりをかけてお弁当を作ることにしました。
お弁当完食!
お弁当1日目。帰宅した息子に感想を聞くと「別に……」とそっけない様子。口に合わなかったかな? と思い、シンクに出されたお弁当箱を開けてみると、なんと空っぽ! もしかしたら喜んでくれたのかなと期待してしまいます。
ゴミ箱に捨てたり誰かにあげたりしていないといいなと思いながらも、2日目のお弁当も完食。残すところあと1日となりました。
最終日は息子の大好物のミートボールを作ろうとスーパーに出掛けると、息子の同級生の親子にバッタリ。そこで私は意外な話を聞いたのです。
どうやら息子はお弁当を食べているときに「ママのお弁当はおいしい!」と言ってくれていたよう。しかも、ママが作る料理はどれもおいしくて、外で食べるよりも家で食べたいとも話していたと聞かされました。
私が泣きそうな顔をしていると、同級生のママは満面の笑みを見せて言いました。「これからもっといいことがあるかもね!」どういうことでしょう……。
最高のプレゼント
そして迎えたお弁当最終日。私は心を込めてお弁当を作りました。放課後、お弁当箱を開けると息子からの手紙が……。そこには「ママになってくれてありがとう」と書かれたメッセージカードが入っていました。
ちょうどそのとき、スーパーで会った同級生のママから連絡が入りました。どうやら息子は学校で「恥ずかしくてママと呼べない」と相談していたよう。クラスメイトが一丸となって手紙を入れる作戦を考えてくれたと教えてくれました。
この手紙は、私にとって最高のプレゼントになりました。それから3年が経ち、今ではわがままや反抗もチラホラ。それも私を信頼し、甘えてくれている証拠です。どんな息子も、変わらず愛情を注ぎ続けています。
何があっても諦めずに愛情を注ぎ続けたことで、良い関係性を築けて本当によかったですね! 血の繋がりを超えた関係性もあるのだと思わされました。