お子さんが産まれるのはうれしいことですが、お金がかかることでもあります。病院によっては予約金が必要なところも少なくありません。しかし、急な話でお金の用意ができず借入を考える人もいると思います。家族や金融機関などで借り入れをする前に、健康保険から借り入れできる場合がありますので、今回はその制度についてお伝えします。
1.貸付をするのは健康保険の保険者
貸付は、健康保険から支払われる出産育児一時金を前借りする形となります。健康保険は、職業やお住まいの地域で異なります。会社員・公務員・医療機関・教育機関などにお勤めされている方は、全国健康保険協会○○支部・○○健康保険組合・○○共済組合、自営業者・年金受給者・無職者等の方は、市区町村等の国民健康保険に加入していることが多いです。
この団体を保険者と呼び、この団体に対して手続きします。以下に保険証の見本を載せますので、ご参考にしてください。赤枠で囲まれている保険者が手続き先です。例えば、東京都世田谷区に住んでいても、会社員で全国健康保険協会東京支部の保険証を持っている場合は、世田谷区役所でなく全国健康保険協会東京支部に届出をすることになりますので、ご注意ください。
健康保険証の見本
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2.お手続き前に実施しているか確認を
ママ本人が働いている場合は自分の健康保険証にある保険者、パパなどの扶養に入っている場合はパパが加入している健康保険の保険者(ママも同じ保険者です)に手続きをします。保険者によって、実施していない可能性もありますので、ホームページや電話等で出産費用の貸付をしているか確認をしてください。保険者によって手続きできる時期や貸し付ける金額に違いがあります。
なお、利用者の多い全国健康保険協会の場合は、出産予定日まで1カ月以内の方で、出産育児一時金支給見込額の8割相当額(42万円の80%=33万6千円)を限度として借り入れができます。いずれの場合でも出産後に受け取れる出産育児一時金を前借りする形となりますので、最終的には出産費用総額が足りれば問題ないのですが、足りない場合には不足分を支払う必要があることは覚えておいてください。なお、出産育児一時金の制度はこちらをご参考になさってください。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。