しかし待っていたのは思い描いていたものとまったく違う結婚生活……。夫と義母は毎日のように理不尽な要求をしてきます。うまくできないとネチネチ嫌味を言われるので、気が抜けません。
朝から晩までとにかくやらなければいけないことが山積みで、休む暇もないのです。
私は家政婦…!?
義母は、嫁いできた以上勝手に実家に帰ってはいけないと言います。だからといって、事前に許可を貰おうとしても「養ってくれているのは誰?」と義母に言われて、帰省を許されることはありません。
本来、夫婦は対等な関係のはず。養われているからといってこんな扱いを受けるのなら、仕事をしていたほうがマシです。そう思って夫に働きたいと相談したのですが「家事をサボりたいのか?」と言われる始末。
近くで聞いていた義母も「家政婦は家政婦らしくしていなさい!」と相手にしてくれませんでした。
義父の反応は…
そんな夫と義母ですが、義父は少し違っています。毎日あちこちを飛び回っていてあまり家にいませんが、それでも家に帰ってきたときには「たまには家事を休みなさい」と言い、労いの言葉をかけてくれます。
義父は本当に気遣いの人で、社員から慕われているのも納得です。
ただでさえ忙しい義父を巻き込むのは忍びないと思いつつ、私は夫と義母のことを相談することにしました。義父からすれば妻と息子の悪口とも捉えうる話でしたが、義父はとても親身に話を聞いてくれ、「どうせなら有利な条件で離婚しなさい」と、ある計画を提案したのです。
その日から、私はボイスレコーダーを常に持ち歩いて、夫や義母から暴言を吐かれたときは、すぐに録音するようにしていました。すると、幸か不幸か、たった数日で離婚をするには十分すぎるほどの音声データを手に入れることに成功しました。
契約終了!
家事を終え、夫とソファに座って一息ついていた私。その姿を見た義母が、突然「休憩する家政婦は不要! サボるくらいなら出ていって!」と怒鳴ってきたのです。私は言い返してやりました。
「では、契約終了ですね! 家政婦サービスの料金は住み込みで日当3万円。半年の勤務だったので、500万になります!」そう言って、私は準備していた離婚届を差し出しました。夫も義母も状況が理解できていないのか、呆然としています。
そんな2人を置いて、私はまとめてあった荷物を持って実家に向かいました。
家政婦代わりの妻
実はこれは、義父から提案された離婚作戦です。夫と義母が無理難題を押し付けたせいで、これまでも何人もの家政婦さんが辞めてしまったよう。ついに堪忍袋の緒が切れた義父が、家事はすべて自分たちでやるように言い渡したそうです。
悲しいかな、私は家政婦代わりに結婚しただけの妻でした。それを察した義父が、離婚の後押しをしてくれたのです。
私は家政婦料と言う名の慰謝料をもらい、離婚。今は義父の会社でバリバリ働いています。どうやら義父は息子の仕事のできなさに気づいていて、別の後継者を育てているようです。自分が後継者だと思って疑いもしない夫が、この事実を知る日が楽しみです。
女性が専業主婦になると「養ってやっている」と言う男性がしばしばいるようです。しかし、家を守るのも立派な仕事。職場から帰ってきたら食事ができていて、翌日には洗濯物がきれいになっている……そんな家事のありがたみを理解する必要がありますね。