当時、同じ高校のよしみもあり、同じ大学に入ったことをきっかけに付き合うことになった私と彼。しかし、大学時代にできた親友に、その彼を奪われてしまいました。ミスターキャンパスの彼と、ミスキャンパスの親友。傍目から見たらお似合いのカップルです。
親友は略奪後、彼に近づくために私と仲良くしていたと暴露してきました。さらには「今後私の彼に近づいたら容赦なくあんたの悪い噂流すから」「結婚式には呼んであげるから楽しみにしててね~」と言って私との関わりを絶ったのです。
結婚式の招待状
大学を卒業して数年――。
絶縁したと思っていた親友から突然電話がかかってきました。
「どうして学部の同窓会もサークルの集まりにも顔出さないのよー!みんな寂しがってるわよ」と言われたので、私は正直に「仕事が忙しくて……」と答えました。すると、親友は相変わらずの調子で「私と彼の幸せな風景を見るのが辛かったんでしょ?」と煽ってきたのです。
本当に仕事で忙しくしていた私。ちょっとムっとしながらも、「それで、何の用?」と尋ねました。すると、親友は1トーン高い声でこう言ったのです。
「実は、私と彼、結婚することになりましたー!!」
「それはおめでとう」とお祝いを言うと、親友は不満な様子。「『結婚式するの?』とか『プロポーズの言葉は?』とかいろいろ聞きたいことあるでしょ?」と言われましたが、まったく興味が湧きません。
「まぁ、私の幸せな現実を聞いて落ち込むのが嫌だっていうのはよくわかるわ」となぜか勝手に納得している親友。どうやら私にマウントを取るために連絡してきたようです。
「たくさんの人を呼んで大きい式場で結婚式を挙げるから準備が忙しすぎて、私も仕事辞めちゃったし」「彼、就活に大成功して大企業に就職したのよ?しかも上司に気に入られて評価も高いから、私が専業主婦になっても何も問題ないの」
「結婚式も寿退社も良かったわね、おめでとう、それじゃさようなら」と電話を切り上げようとすると、食い気味に「ちょっと待ちなさいよ!」と親友。「招待状を出したいから住所を教えなさい!」と言ってきたのです。
「欠席するからいらないわ」と言っても、「来なさいよ!ご祝儀はいらないから」と聞く耳を持ちません。「お金には困ってないから、あんたごときのちっぽけなご祝儀はいらないし、タダで飲み食いさせてあげるわよ」「サークルの仲間たちも来るし、彼に未練がないならちゃんと出席しなさい!」と親友。
どうにか断れないかとスケジュール帳を確認してみたものの、なぜか親友と元カレの結婚式だけ予定がぽっかり空いていたのでした。
ため息をつく私とは対照的に、ふふんと満足気に鼻を鳴らした親友は、「あんたのために、とっておきの特等席用意してあげるからね♡」と言ってようやく電話を切ってくれました。
特等席はどこ?
そして元カレと親友の結婚式当日――。久々に顔を合わせたサークル仲間たちと一緒に会場に入った私。そのタイミングを見計らっていたのか、私の携帯電話に親友から連絡が。
「ごめんね、アンタの席だけ用意するの忘れちゃったw」
「祝いに来てくれて悪いけどやっぱ帰ってくれる?w」
「大丈夫、式は中止だからw」
「え?」
ぽかんとする親友に、私は「新郎からの招待なのに、まさか席がないとはね」と続けました。すると、親友は「何言ってんの?私が招待してあげたんじゃない!」と激昂。
「だって、私、夫と一緒に出席するつもりで来たんだもの」「私の席がないって聞いて、私よりも夫の方が怒っているわ」と言うと、親友は「え?あんた、結婚してんの……?」と驚いた様子でした。
しかし、すぐに我に返ったようで「どうせ地味な式場で地味な式を挙げたんでしょ!」「高級取りの私の夫と違って、どうせ薄給の普通の庶民と結婚したんでしょ?」とマウントを取ることをやめません。
呆れた私は、真実を告げることに。
「何も知らないのね……」「自分の夫が務めている会社の社長のことくらい、把握しておかないと」
元カレを親友に奪われて自暴自棄になった私は、大学在学中に起業。人脈を広げようと参加した経営者のパーティーで、今の夫と知り合いました。
元カレを会社でかわいがって取り立てているのは私の夫だったのです。だからこそ、元彼は「ぜひ奥様といらっしゃってください」と私の夫に招待状を渡したのでしょう。妻が私だとはつゆ知らず。
略奪婚の末路
親友は自分の招待客のリストしか見ておらず、気付かなかったようなのですが、新郎側のリストには夫の姓となった私の名前がちゃんと記載されていました。もちろん、夫の隣に私の席も用意されていました。
「席がなくておろおろする惨めなあんたが見たかったのに!」と親友。やはり私に恥をかかせるつもりだったようです。
「どうしてそんなことをするの?」と尋ねると、「だってあんた、私が彼を奪った時に泣き叫ばなかったじゃない!」「なんか妙に冷静で!私はあんたが悔しがる姿が見たかったのに!」と親友。
「とりあえず、夫と私は帰らせてもらいます」「このやり取りの一部始終を見ていたサークル仲間たちも一緒に帰るって。友人席はぽっかり空いちゃうけど、仕方ないわよね」「ご招待ありがとう、主賓の夫はいないけど式を楽しんでね!」
その後――。
上司の妻をないがしろにしたことが周囲にバレた親友。元カレも怒って、婚姻届を破り捨てたそうです。
夫やサークル仲間たちと楽しく飲んでいた私のもとに、親友から何度も「友だちなんだから助けてよ!」と連絡が来ましたが、まともに取り合う気はさらさらありませんでした。気に入らないからといって、大勢の前で私に恥をかかせようとした彼女はもう友だちですらありません。
私のサークル仲間たちと夫は意気投合。この一件から定期的にみんなで遊びに行くようになりました。
一方、元カレと親友は破局。元カレは会社で肩身の狭い思いをしており、親友は結婚式の費用やブライダルエステ代の返済に追われているようです。親友や元カレは私たちに合わせる顔がないようで、一切連絡をよこしません。
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